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京都人の密かな愉しみ [単発]

「この(京都という)町は、暗黙のルールに精通した人々の人間関係で、円滑に動く仕組みになっている。暗黙のルールを教えてくれる教科書はない。子供のころから長い時間をかけて体得していくものだ」



「これはわたしの持論だが、文化人類学的に言うと、日本には2種類の人間が存在する。日本人と、そして京都人だ」



「京都人を腹黒いひとたちだと中傷する、お決まりのエピソードに出てくる『ぶぶ漬けでも どないどす?』は、結局、京都という特殊なソサエティに入っていけない よそ者のコンプレックスが作り出したファンタジーだと、わたしは思っています。(中略) 江戸は全国から武士が集まる大消費都市でしたから、気持ちよく おごる、おごられる、という文化的風土がある。反対に、京都は伝統工芸の職人が集まる手堅い生産加工の町です。ところが、幕末になって、江戸的な価値観を持った侍たちが、大挙して京都に押しかけた。彼らは訪ねてくると、なかなか帰らない。そのうちに食事どきになる。さあ、どうします? 『なんもありまへんけど、ぶぶ漬けでも どないどす?』『悪いね。じゃあ、ごちになります』――。で、ぶぶ漬けを食べて帰った関東人の話をご近所さんに話すと同情されるわけです」



「昔はな、お茶は高級品やってん。いちいち訪ねて来はるひとに、お茶 出せるほど、京都の庶民は裕福やなかったんよ。うちのおばあちゃんらの時代なんか、ご飯のときは お茶代わりに お白湯さゆ 飲んでたらしいから。京都はな、そういう質素な時代の習慣がきっちり残ってんねん。ぶぶ漬けの『ぶぶ』も白湯のことやで。(中略) お茶は高級品なん。ご飯にかけるもんやのうて、ゆっくり楽しんで飲むもんやの。ぶぶ漬けは冷ご飯に お湯 かけただけの粗末な食べモンやで。なんぼ京都人がケチでも、そんなもん、カッコ悪うて勧めるわけないやん」



「京都の人間はな、ホンマは見栄張りやねん。そやかて、自分の綺羅きらを飾るんやのうて、身内のもんに恥かかさん いう見栄や」



「京都には名の知られた寺が数々あるが、好きな寺をひとつ挙げろと京都人に聞かれたときは、心して答えなければならない。彼らはそれで京都に対する理解の深さを測るからだ」


NHK BSプレミアム/2015年1月3日放送
【脚本】
源孝志
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