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やすらぎの刻 ~道・第129話 [やすらぎの刻]

「昭和20年から21年にかけて、日本は混沌の最中さなかにあった。町には闇市が氾濫し、進駐軍の残飯を煮出した 栄養汁なる真っ赤な汁が、1杯10円で人々の腹を満たした。新聞には、陛下とマッカーサーの屈辱的なツーショットが載り、日本の秩序は ほとんど崩壊寸前だった。そこへ、外地からの引き揚げ船が復員兵をどっと送り込み、彼らは疲弊した故郷ふるさとへ散った」



「あそこは軍の研究所でな、毒ガスの研究をやってたらしい。捕虜をひそかに送り込んでな、人体実験をやってたらしいんだ。2、3日前に駐留軍があそこを襲って解放したらしいんだが、(中略) そのとき働かされてた強制労働者が、これまでの恨みで あそこの管理者を何人か半殺しの目に遭わせたらしい。戦争は まだまだ そう簡単には終わらないよ」



「(満蒙開拓団が入植した)あそこらの村は、終戦直後に中国兵やら住民に取り囲まれてなあ。若い男はみんな徴用で関東軍に召し上げられて(いたから)、残っておったモンは女こどもと、じいさん、ばあさんよ。そこへ、ソ連兵がどっと攻め込んで、略奪、暴行をはじめたから、残されたモンは手の打ちようがない。村中が集まって集団自決したモンもおったし、残っとった女は家族を守るために、ソ連兵に寄ってたかって暴行されたり、中には しょうことなく露助ろすけの言いなりに・・・。村の連中を守るための防波堤になるために、体 投げ出した若い奥さんたちがおったりで。子供は中国人に売られるわ、家族は散り散りに逃げたり、殺されたり、そういうモンの中に、何人かは大連まで逃げて、たどり着いて、かろうじて帰還船に乗ることができて・・・」


テレビ朝日/2019年10月3日放送
【脚本】
倉本聰
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