浅田次郎 プリズンホテル・第10話(最終回) [プリズンホテル]
「虫けらのようなワシらの命で守れるもんがあるなら、迷わず差し出すのが極道モンです」
「社会からあぶれた者が極道ものになるなら、そこから さらに あぶれた者を受け入れてくれるのが、このプリズンホテルです。ここはそうして、鼻つまみ者だった わたしでさえも受け入れてくれたんです。(中略) わたしもタキシードを着た極道です。ホテルマンという道を究めようとしている、ひとりの極道ものでございます」
BSジャパン/2017年12月16日放送
【脚本】三浦駿斗/【原作】浅田次郎
浅田次郎 プリズンホテル・第7話 [プリズンホテル]
「『これ以上、苦しみたくない。頼むから助けてくれ』――。酸素マスク越しに、何十秒もかかって彼がやっと絞り出した言葉です。『ムリです(安楽死は犯罪ですから)。死ぬまでのあいだ、苦しんでください』――。そんなこと言えますか。ぼくには言えません。かなえてあげたかったんです、患者の最後の望みを。ぼくのしたことを許せませんか」
「医師が救うことを放棄したら、負けなんじゃない? (中略) どんな理屈こねたって、患者を死なせたら負け。患者の前から逃げ出したら、医師失格なのよ」
「死ぬことが負けなら、この勝負に勝てる人間はひとりもいません。死神の圧勝です」
「でも、その死神に挑むのが、あたしたちの仕事でしょ」
「誰も死からは逃れられません。(医師は)終末期を迎えた患者になにができるんでしょうか。死を遠ざけることだけが正解なんでしょうか」
「このホテルには、いろんな事情や問題を抱えた客人が大勢やってくる。だが、その問題を解決するのはオレたちの仕事じゃねえ。(中略) たとえ悪魔が来ようが受け入れる。それだけのことだ」
「あたしは あたしのやり方で(患者を)救う。だから、あんたは あんたのやり方で救って。あたしに認めてほしければ、ここで負けるな」
BSジャパン/2017年11月18日放送
【脚本】青塚美穂/【原作】浅田次郎
浅田次郎 プリズンホテル・第5話 [プリズンホテル]
「普段、規律正しい生活を送る警察はその反動なのか、とにかく旅先のマナーが悪い。これは観光業界じゃ有名な話で・・・」
「世の中には、近くで見るだけでは見えないものがあります」
「ヤクザってのは、毎日、宴会やってるようなもんだ。だから、こういう(旅行の)席じゃ、しめやかで礼儀正しいんだ」
「オレらはマル暴っていってよ、極道の事務所に入って『おいこら、ぶち殺すぞ』みてえなガサ入れするイメージあんだろ。でもな、実際はそんな派手なこと、滅多にしねえんだぞ。あっちだって、事務所に重要な証拠を残しちゃいねえんだからよ。だから、地道な捜査であいつらを追い込んでいくしかねえんだよ、まったく。だけど、世間はそれを許しちゃくれねえ。オレらがわかりやすい捜査をしねえと、『ちゃんと働け、この税金泥棒』みてえな電話かけてきやがる。だから、そのガス抜きのために、オレらは事務所のガサ入れするんだ」
BSジャパン/2017年11月4日放送
【脚本】宮本武史/【原作】浅田次郎
浅田次郎 プリズンホテル・第3話 [プリズンホテル]
「死を怖れるやつは、生きることも怖れます。そんなやつらを、どうやって助ける おつもりで?」
「天は自ら助くる者を助く――。誰かの助けを待っているやつは、どっちみち死ぬ」
「こいつは『生きる』なんて言ってませんよ。ただ単に、死ぬのをやめただけです」
BSジャパン/2017年10月21日放送
【脚本】青塚美穂/【原作】浅田次郎
浅田次郎 プリズンホテル・第1話 [プリズンホテル]
「任侠の世界には、大切なことが三つあるって言ってました。(中略) 義理と人情はお題目だって。オレたちは愚痴を言っちゃいけない。嘘を言っちゃいけない。最後にもうひとつ、見栄を張っちゃいけない――だそうです」
「むかしと違って、いまの極道は滅んでいくだけの存在だ。オレたち極道モンは社会の一員じゃなくなっちまった。(中略) だったらよ、行き場を失くした負け犬どものために、アカを落とす風呂のひとつも用意したっていいじゃねえか」
BSジャパン/2017年10月7日放送
【脚本】三浦駿斗/【原作】浅田次郎