小吉の女房2・第4話 [小吉の女房]
「(むかしと)違うのは、世の中の上っ面だけさ。なにかを なさねばと、はやる気持ち もわかる。だが、腹ができていなけりゃ、世のために走り回ったところで、所詮、ロクな仕事は できやしないさ。急くなよ。いまは人間の土台を作るときだ」
「西洋の書物は、役に立つ知識の宝庫だ。ところが、ご公儀は蕃書を遠ざけ、新しい知識を広めようとしない。いまの改革とやらを見てごらんな。むやみに人々を締め上げて、享保や寛政の世に戻そうとしている。世界は前に進んでいるというのに、バカな話だ。(中略) 書物の中には、億万人の知恵や知識がつまってる。大公儀などと威張ったところで、たかの知れた石頭の集まり。億万の知恵に勝てる道理がない」
「ナポレオンには武器があったんだよ。名も、地位も、金もない若い者も持てる武器だ。ひとつは胆力。そして、もうひとつが知識だ」
NHK BSプレミアム/2021年4月23日放送
【脚本】山本むつみ
小吉の女房2・第3話 [小吉の女房]
「ずっと考えていたのです・・・世の中は いまに大きく変わる。わたしは なにをすればよいのかと。簡単なことでした。母上が笑って暮らせる毎日が、ずっと続くようにすれば よいのです。それを ものさしにして、事の良し悪しを測れば、大きく間違うことはありません」
「(天保の改革による暮らしづらさも)しばらくの辛抱ですよ。いまに きっと元の賑やかな道具市に戻りますから。ご公儀のなさることでも、人情とかけ離れていたのでは、長く続くはずが ありませんもの」
NHK BSプレミアム/2021年4月16日放送
【脚本】山本むつみ
小吉の女房2・第2話 [小吉の女房]
「金をやらずに始末をつけるか、金をやってでも きっぱり縁を切るか、ふたつにひとつなら、どちらにします?」
「(子供たちが)昼日中から遊べるってのは、村が豊かな証拠ですよ」
NHK BSプレミアム/2021年4月9日放送
【脚本】山本むつみ
小吉の女房・第2話 [小吉の女房]
「そりゃあな、身の丈に合った出世ならいいぜ。けどよ、若君のお相手じゃ、日が当たるどころか、お天道様が近すぎて麟が焼かれて落っこちまう」
「(トンビがタカを生んだ?)トンビでも、タカでも、いいじゃありませんか。空を飛ぶことに変わりは ありませんもの」
NHK BSプレミアム/2019年1月18日放送
【脚本】山本むつみ
小吉の女房・第1話 [小吉の女房]
「はずれクジの婿に、やっと御番入りの話が巡ってまいりました。はずれクジで悪ければ、ナメクジです。カタツムリのように家ひとつ背負うでもなく、空身でのらくら暮らして・・・」
「口に関所がねえからって、勝手放題ぬかしやがって。強い者には尻尾を振り、下のモンには吠えかかって威張りまくる――。てめえらみたいな卑怯なやつをなんて言うか教えてやらあ。犬侍ってんだ」
「わしは うれしかったんだよ。小吉が出世のためなら、親の悪口も平気で聞くような、そんな卑しいやつでなくて よかったと思うてな。(中略) 小賢しく立ち回る者が出世する世の中だ。武士の気性では、志を得るのは難しかろうよ。なれど、小吉は小吉のようにしか生きられぬ。たとえ生涯、無役で終わるとしても、あの真っ直ぐな気性を貫けば、それでよいわ」
NHK BSプレミアム/2019年1月10日放送
【脚本】山本むつみ