歪んだ波紋・第8話(最終回) [歪んだ波紋]
「ひとの思考なんて、技術革新で簡単に変わるだろ。『アラブの春』が起こったとき、SNSで政権交代ができるなんて誰も信じてなかった」
「記者は自分を信じるんじゃない。自分を疑うことから はじまるんだ」
「オレたちの目的は第四権力の消滅だ。(マスメディアの)次の権力がやってきてる。ネット社会――。個人による情報発信と監視だよ。正しさよりも面白さ。ひとの役より、自分の役に立つ情報がすべてを支配する。オレたちは、そんなネットメディアすらも壊したいんだ。そうして、初めて情報はフリーになる」
「見てみろよ、階級社会になっちまったこの世界を。一度 落ちた人間は、二度と救われないのが、いまの日本なんだ。こんな仕組みに成り下がった社会なんてな、壊れていいんだ。壊さなきゃいけないんだ」
「情報の広がり方が、きちんとした波紋を描いていた時代は、完全に終わったのだ。いまのメディアは、まるで戦場そのものだ。しかも、本当の敵が見えない。誰が誰を撃っているのか わからない戦場――。インターネットが土台となった世界では、市民の振る舞いが、ときにはジャーナリスト以上に社会に大きな影響を与える場合がある。そこでは嘘が真実となり、ときには誤報が生まれ、また、無邪気な欲望がフェイクニュースを生み出す。その勢いは止まらないだろう。しかし、そんな誤報にも負けないひとがいる。寛容な心で隣人に歩み寄り、日々の生活を愛し、より良いものにしていこうとする人々だ。彼らは自分のことよりも、まず他人のことを考える。罰するよりも、許すことを選択する。ジャーナリズムは本来、彼らのような市民のためにあるはずなのだ」
NHK BSプレミアム/2019年12月22日放送
【脚本】向井康介/【原作】塩田武士
歪んだ波紋・第6話 [歪んだ波紋]
「あいつら(ネットメディアの連中は)さ、事件の本質じゃなくて、話題性しか見ねえから。煽るの得意でさ、おいしいとこだけ持っていくんだよ。ものによっちゃ、書かない報道ってのもあるんだよ。オレたち(記者クラブの人間)だってせめぎ合ってんだ」
NHK BSプレミアム/2019年12月8日放送
【脚本】向井康介/【原作】塩田武士
歪んだ波紋・第3話 [歪んだ波紋]
「(新聞は)第四権力だ。自分たちで、自分を監視するのは当然」
「情報は自由になりたがる」
「武器を作る人間と、それを使う人間は、どっちの罪が重いんだろうな」
「会社ってのは組織だ。けど、オレや垣内、一平はチームだった。ケンカもしたし、張り合ったりもしたけど、戦うときは一緒だった。(中略) 大事なのはチームだ。いいチームを作れよ。まず、大切なメンバーは家族だ。そこからゲームは はじまる」
NHK BSプレミアム/2019年11月17日放送
【脚本】向井康介/【原作】塩田武士
歪んだ波紋・第2話 [歪んだ波紋]
「(犯人扱いされて以来)朝 起きると、匿名の掲示板 見るのが日課になっちゃんたんですね。自分のことが書かれてあるの、見ないほうがいいってわかってるのに。最初は悲しくて、次に怒りがやってきて、そのあと『なんで、あたしひとりだけ』って寂しさが押し寄せて。薄皮がはがれるみたいに、ちょっとずつ感情がなくなっていくんです。書かれてあることも、まるでひとごとのように思えてきて。そんな中で、最後に残るものってなんだと思います。(悔しさじゃありません、)怖さです。外に出ると、怖くてたまらないんです。知ってますか、怖さには形があるんです。見えないのに、あるんです。わかりますか」
「組織がおかしくなるってときはな、いつだって なにかを隠すときなんだよ。隠蔽するから、組織は狂うんだ」
「情報はお金で買えるかもしれません。でも、正義はお金では買えませんから」
NHK BSプレミアム/2019年11月10日放送
【脚本】向井康介/【原作】塩田武士
歪んだ波紋・第1話 [歪んだ波紋]
「知らなくていいことは、知らないほうがいい。そのほうが、生き方としてはラクだ。でも、記者は違う。見たくないものでも、それが真実なら、正面から見なくちゃいけない。きみのお父さんが言ってた『浅瀬にとどまるな』って言葉、オレはそう理解している」
「(誤報の責任をとって)局次長は補佐に降格。主犯ふたりは解雇で、片棒 担いだおまえは停職三日。ひき逃げの風評被害と釣り合ってんのかねえ。いまの時代、発信された情報は永遠にネット上に残り続ける・・・それが虚報であってもな」
「(新聞記者は)間違ったら、一生 背負うんです。謝っても許されない。なんの償いにもならない。背負うしかないんだと思います」
NHK BSプレミアム/2019年11月3日放送
【脚本】向井康介/【原作】塩田武士