「わたしは戦争中、男には毎日の暮らしなどよりも、もっと大事なものがあると思い込んできた。思い込まされてきた。しかし、そんなものは なかったんだな。毎日の暮らしを犠牲にしてまで、守って戦うものなど、なにもなかった――。毎日の暮らしこそ、守るべきものだった。人間の暮らしは、なにものにも優先して、いちばん大事なものなんだ。それは、なにものも侵してはならない。たとえ戦争であっても」



「終戦の日以来、初めて他人の、それも女性の、言葉を信じてみたくなったんだ」


NHK/2016年7月16日放送
【脚本】西田征史