「見ざる、聞かざる、言わざるなれど、知らざるふりはできません」



浄法寺塗じょうぼうじぬりってのは、地味な器だ。ただただうるしを何度も塗ってはいでの繰り返し。漆だけで器の厚みを作るんだ。だが、最後の塗りのあとは、あえて仕上げの研ぎをしねえんだよ。なんでだかわかるか。使い続けるうちに自然と研がれ、つやや輝きが出るからだよ。七割が職人、あとの三割は客が作る。これが浄法寺塗の真骨頂ってわけだ」


BS-TBS/2017年11月29日放送
【脚本】尾西兼一