「グリーフケアとは、大切なひとを亡くした方が、立ち直ることができるようにサポートする取り組みのことです。大事なことは、一方的に励ますのではなく、悲しみに寄り添うことです。もちろん、専門の先生を頼ることも大事です。でも、それができるのは、やはり家族や友人だと、わたしは思います」



「大切なひとを亡くした日常を受け入れるためには、どんなことが必要なのでしょうか。大事なポイントが3つあるんです。その1、悲しみを肯定する。悲しむことは自然な感情だと教えてあげてください。特に男性は悲しんでいる姿をひとに見せたがりませんから、状況が悪化しやすいんです。その2、悲しみを表現させる。悲しみをうまく表現できないひとには、特に重要です。亡くなった方について話をしたり、思い出の品を手元に置いて、感情を吐き出させてあげてください。悲しむ行為は、立ち直るための大切なプロセスです。では最後、その3、儀式をおこなう。葬儀やお別れの会は死を受け入れる きっかけになります。ひとは むかしから そうやって親しいひとの死を乗り越えてきました」



「医師だから、母親だからと、自分にそう言い聞かせて、(きみは)悲しみに耐えようとしてるんじゃないのかな。医者も、母もひと。そんなには強くないんじゃないかなあ。独りで立ち直ろうとしなくたっていいんだよ。だって、先生には悲しみを共有できる家族がいるもん。誰にも、悲しみを取りのぞくことなんて、そもそも できやしない。でも、家族となら一緒に悲しむことができる」


フジテレビ/2020年1月30日放送
【脚本】神田優