「色恋や男女の情を、汚れたもの、恥ずべきものと、蔑むのは大きな間違いです。この世に生まれたものは、獣も、鳥も、魚も、蝶々も、虫けらも、すべて恋をします。およそ生きとし生けるものは、花も、草木も、恋をするのです。恋をしなければ、命の引継ぎが断たれてしまう。そうでしょう。忠義のために死ぬるのは正しくて、恋のために死ぬるのは罪悪だと、いったい誰が決められますか。人ひとりの心の中は、空よりも広く、海よりも深い。なにが正しくて、なにが間違っているかは、誰にもわかりません(中略) 。お七さんは、恋をしたから大人だ(、大人として罰を受ける)と言った。長生きよりも、永遠とわに生きる道を選んだ。そうやって、命を引き継いだ。そう思えば、いくらか気持ちが和らぎませんかなあ」



「(死罪が)怖くないと言えば嘘になりますが、気持ちだけはすっきりしています。死ぬのは生きていた証です」


NHK/2013年11月21日放送
【脚本】ジェームス三木