「いちばん ふさわしい人間が跡を継がな、伝統は守れへん。(中略) 血縁に こだわってたら、伝統は守りきれん。後継者にふさわしい職人の条件てのは なんや、幸太郎。執着心と情熱や。タエさんがやり残したことを続ける執着心。自分のやりたかった夢を実現させる情熱。それさえあったらええ」
「スランプいうんは、実力のある人間が なんらかの原因で力を発揮できひんいう状態を表す言葉やがな。あいつに使うんは1200年 早いわ」
「今日は粽作りの助っ人で(来ました)。ま、日ごろから碁盤の目の中に住んでるはる ひとらから、『ああ、嵯峨野なあ。あそこらへんは京都と言わしません』って差別されてる田舎の人間からしたら、祇園祭は部外者なんやろけど、親友の頼みは無下には できませんよって」
「京都の若い子らにしたら、祇園祭の宵山の晩はクリスマスイブみたいなもんやしな。デートに誘うのは、本命の相手いう雰囲気あるのは、たしかやわ」
「ご利益とか、ジンクスとか、そんなもんに頼ってるうちは、ホンマモンの恋なんか できひん思います」
「暗い道の向こうに、山や鉾の明かりがぼうっと見えて、波の音みたいに祇園ばやしが聞こえて、そういう暗い道をゆっくり、明るいほうに向かって歩くんが好き。うちのおばあちゃんがな、祇園祭の時期は こういう暗い道 歩いてると、神さんに会うたりするもんや、言うてはった。(中略) 子供とか、おじいさんの姿してはんねんて」
NHK BSプレミアム/2019年8月17日放送
【脚本】源孝志