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未解決事件 File.10 下山事件・第1部 [単発]

「これからの犯罪捜査は客観性が重要です。科学的証拠の積み上げが人権を守る――」



「あなたは戦地には行ってますか? 焼け焦げて道端に転がる、得体のしれない形で川に浮かぶ、そんな人間をオレは山ほど見た。あれはもうイヤだよ」



「きみら優秀な記者同士、情報交換したらどうだね。情報は広く共有されるべきだ。多ければ多いほど、補助線が引ける。そこから真実が見えてくる。情報は力だよ」



「報道は(事件の)背景をあぶりだすことに意義がある。しかし、検察は やった人間を押さえない限り、事件そのものを立件することができない」



「どんなときも、手を汚し、傷つくのは、弱い者たちだ。戦場から やっとのことで戻ってきても、生活は苦しい。飢えた者に正義を説いたところで、きれいごとだ。彼らには、右も左もない。なにも知らされず、分断され、孤立させられ、わずかな金で権力者たちの目的遂行のために利用され、使い捨てられる。こんなことが、いつまでも許されていいはずはない」



「(アメリカとの関係は、国の存亡にかかわる――。)その言葉で すべてが かたづけられていく。(中略) われわれ(検察)に与えられた権限がないに等しくて、それでも日本は主権国家と呼べますか。国の謀略によって ひとりの人間の命が無残にも奪われ、その死が都合よく政治に利用される――。しかし、手を汚すのはいつだって立場の弱い者であり、力を持つ者が救うべきはその名もなき者たちです。国家主義を捨て、国民一人ひとりの幸福を希求するのが戦後の理想だったはず。それができないなら・・・それができないなら、アメリカが日本にもたらしたものは真の民主主義ではない」



「物事は複雑なんだよ。黒か白か、右か左か、敵か味方か、国か個人か、そんな簡単に線が引けたら苦労はしない。おまえだってわかってるだろ。その混沌の中にあって、かろうじて いちばん まともだと思える線を探っていくんだよ。そして いま、最も まともな判断が、アメリカとの関係の継続なんだよ」


NHK/2024年3月30日放送
【脚本】
安達奈緒子
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