「戦争に負けたということは、想像していたのとは、随分 違った。上陸してきたアメリカ兵は想像していた鬼のような連中ではなく、なによりピシッとアイロンのかかった、きちんとした制服を着ていたことが、ぼくらを驚かせ、意外に思わせた。なによりも ぼくらを驚かせたのは、これまで報道されていた新聞の記事が、嘘ばっかり書いていたことであり、ぼくらは大東亜戦争が実際には どんな怖ろしい負け戦であったか、その現実を知らされて信じられない思いだった。正直、ぼくらは なにを信じていいか まったくわからず、なにがホントで、なにが嘘なのか、まったくわからずウロウロしていた」


テレビ朝日/2019年10月2日放送
【脚本】倉本聰