「(リストラを言い渡す役目に)ビビって逃げたんでしょ。でも結局、ほかの誰かがやって、100人からのクビが飛んだってわけだ。あんたひとりが悪者にならずにすんだってだけ」



「あのひと、気に食わねえことがあると、食いモンに当たるだろ。一度なんか、食いさしにタバコ刺して帰ったもんな。ひととして踏み越えちゃいけない線っていうのはな、そういうところに出んだよ」



「なんもない田舎から、あちこち連れ出してくれて・・・いろいろ大人にしてくれて。退屈な いまだけが、この世のすべてじゃないんだって・・・このひとといれば、もっとマシな人生があるかもって、気づかされちゃった」



「自分が さよちゃんの人生 狂わせたって、そう言いたいのか。随分と図々しい解釈だな。ピッチャーってのは、いつもそうなんだ。主役気取りでいけ好かねえや。相手を抑えりゃヒーローで、打たれても悲劇のヒーローで、常に自分が主役だと思い込む。(中略) でもなあ、ひとの人生はそう簡単なもんじゃない。おまえなんかが狂わせられるかよ」



「ホメられたことばかりじゃなくても、精一杯 生きた結果がいまなら、それが間違ってるはずがない」


NHK/2020年3月28日放送
【脚本】櫻井剛/【原作】山口瞳