「今日のメニューは、ザ・アメリカ飯、ジャンバラヤ。あわせる汁物は、ホカホカのコーンスープ。本日のダブル主演のひとつ、究極のジャンクフード、アメリカンドッグ。いつものビン牛乳に、うれしい大人のデザート、コーヒーゼリー。これは給食センターの挑戦状だ。戦後40年、われわれ日本人が いかに西洋に肩を並べたか、和が排除された献立に、いかになじんだか・・・」



「ここはアメリカのルイジアナ州、ニューオーリンズの郊外にたたずむ深夜まで営業しているレストランだ。客は港湾労働者や、工場勤めの荒くれ者たち。とにかく食うんだよ。繊細な味など関係ない。彼らにとって、大味ではない食は、食ではない。口の中を気持ちいい味で満たしてくれる固形物を山ほど入れる欲望。それこそがアメリカンスタイル。いま、わたしは海を越えた」



「やつは あえて丁寧に美しく食べる方法を選んだ。洋食だからこそ、あえて和の心で。そこには日本人の古き良き創意工夫の精神があった。どんなものにも敬意をもって、自分ができる限りの努力をすることで、よりいっそう高みに行ける。それこそが和の心・・・」



「(アメリカンドッグの棒に こびりついた)カリカリ部分。そうだ、こういう部分が、本来、日本人が好きなところなんだ。アメリカ人なら躊躇なく残す。こんな衣のカリカリ部分。だが、わたしは好きなんだよ。こここそが・・・こここそが、本体と言ってもいいほど好きだ」



「おまえは思い込みが激しい。その自己中心的な性格を直しておかないと、将来、自分が正しいなら、なにをやっても かまわないという、危険な思想を持ちかねん」


tvk/2021年10月27日放送
【脚本】永森裕二