「ひとの思いは、そう たやすく変えられるものじゃない。おまえが(妹の)おさよを恋しいという思いも、どうにもならん。それを恥じることはない。ただ・・・ただな、妹であれ、惚れた女であれ、愛しい者の幸せを願うことこそ、まことの愛情というものじゃないのか」



「ひとは常に なにかを選んで生きている。正しい道を選ぶこともあれば、欲に負けて、間違った道を選ぶこともある。竹二郎は(血がつながっていないと知って、なお)おさよの兄として生きて行こうと決めた。ひととして、それが正しい道だと思い、それを選んだんだ。ただ それだけのことだ」


NHK BSプレミアム/2022年11月11日放送
【脚本】尾崎将也/【原作】山本周五郎