SSブログ

リーガルハイ2・第9話 [リーガル・ハイ]

「ひとつ、ひとよりよくしゃべる。ふたつ、不埒な弁護活動。みっつ、醜い浮世の鬼も、金さえもらえりゃ無罪にしちゃう」



「よくもまあピンポイントで安藤貴和きわが出てくるところを(みんなが)見るものです。この地域には五分に一度は徳永家の勝手口を見ることにしましょうという条例でもあるんでしょうか。徳永家の勝手口から出てきたのが、たとえ 『突撃!隣の晩ごはん』 のヨネスケであったとしても、安藤貴和に見えたに違いない。みんながそれを望んでいるから。ひとは見たいように見、聞きたいように聞き、信じたいように信じるんです。検察だってそうでしょう。証拠によってではなく、民意に応えて起訴したんです」



「生命はその者に与えられた権利です。それを奪う者は、たとえ国家であっても人殺しです。(わたしは死刑制度に)反対じゃありませんよ。目には目を、歯には歯を、殺人には殺人を――。立派な制度だ。ただ、人知れずこっそり始末することが卑劣だと言っているだけです。青空のもと、市中引き回しの上、はりつけ、火あぶりにした上で、みんなで一刺しずつ刺して、首をさらし、万歳三唱したほうが、はるかに健全だ。だが、わが国の愚かな国民は、自らが人殺しになる覚悟がないんです。自分たちは明るいところにいて、誰かが暗闇で社会から消し去ってくれるのを待つ――。そうすれば、それ以上、死刑について考えなくて済み、この世界が健全だと思えるからだ」



「いいでしょう、死刑にすればいい。たしかに安藤貴和は社会をむしばむ恐るべき害虫です。駆除しなければなりません。次に寝取られるのは、あなたのご主人かもしれませんからね。(中略) 死刑にしましょう。現場での目撃証言はあやふやだけれど、死刑にしましょう。被告人の部屋から押収された毒物が、犯行に使われたものかどうか確たる証拠はないけれど、死刑にしましょう。現場に別の毒物らしきビンが落ちていたという証言があるけれど、気にしないで死刑にしましょう。証拠も、証言も、関係ない。高級外車を乗り回し、ブランド服に身を包み、フカヒレやフォアグラを食べていたのだから、死刑にしましょう。それが民意だ。それが民主主義だ。なんて素晴らしい国なんだ。民意なら正しい。みんなが賛成していることなら、すべて正しい」



「本当の悪魔とは、巨大にふくれ上がったときの民意だよ。自分を善人だと信じて疑わず、薄汚い野良犬がドブに落ちると、一斉に集まって袋叩きにしてしまう。そんな “善良な市民” たちだ」



「民意などというものによって、人ひとりを死刑にしようというのなら、すればいい。所詮、この一連の裁判の正体は、嫌われ者を吊るそうという国民的イベントに過ぎないんですから。己のつまらない人生の憂さ晴らしのために」



「あなたがた五人(の最高裁判所判事)は、なんのためにそこにいるんですか。民意がすべてを決めるなら、こんなに格式ばった建物も、権威づいた手続きも必要ない。偉そうにふんぞり返ってる、じいさんも、ばあさんも、必要ない。(だが、)判決を下すのは、断じて国民アンケートなんかじゃない。わが国のせき学であられる、たった5人のあなた方です。どうか、司法の頂点に立つ者の矜持をもってご決断ください」


フジテレビ/2013年12月11日放送
【脚本】
古沢良太
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:テレビ

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。