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学校のカイダン・第6話 [学校のカイダン]

「あんなにプライドの高い連中が、親を使うと思うか。口先で親を盾にするすることと、実際に親に守ってもらうことは違う。そう、(あの)大人たちは、呼ばれてもないのに勝手に出てくる、いわゆる “ヘリコプターペアレント” だ。子供たちの意思を尊重し、自由にさせながら、ヘリコプターのように常に上空でホバリングして、監視。なにか起こりそうになると急降下して、子供の手助けをする」



「プラチナの王様は、どうしてその自由を誇示するようになったのか。どうして暴君になったのか。それは、その権力に溺れたときか、誰かを虐げることでしか自分の地位を保てなくなったと あきらめたときだ」



「この部屋、うちなんかよりも何倍も広くて、視界もひらけてるのに、なんか窮屈に感じちゃう。なんでだろう。わたしは、そうやってひとを見下ろすよりも、地べたで一緒に歩きたいから、だから、(ここにいると)全部が遠すぎて、逆に居心地が悪いっていうか・・・。それに、宙に浮いてるみたいで、自分の軸がわかんなくなっちゃいそう。須堂くんはこんな高いところにいて寂しくないの? (中略) 満ち足りてるから、暇つぶししてるの? それとも、空っぽだから、だから、おれは持ってる、満足してるって自分を言いくるめるために(みんなを見下ろしているの?)」



「だるま落とし とおんなじだ。立派な親たちが円柱をいくつもいくつも、積み上げて、積み上げて、子供をてっぺんに立たせてやる。てっぺんに立った子供は王様気分。視界を遮るものも、邪魔するものも、なーんにもなくて自由を満喫、超サイコーの気分。でも、気づいたら、独りでは降りられないところにいた。見下ろしてみたら、子供のときに一緒に駆け回っていた友達連中は遥か下界。寂しい。独りぼっちが怖い。降りたい。降りたい。みんなのところに戻りたい。でも、はしごもなく、独りでは降りられない。(中略) やつらが自分で降りられないのなら、下から円柱を取りのぞいて、おまえが近づいてってやるんだよ。さあ、弱い連中のためだけの革命家ではなく、強い連中にも命を与える革命家になれ。塔の上に囚われている王様たちを、だるま落とし で引きずり下ろせ」



「子供同士の戦いに、親が決着をつけるな」



「子供の世界に登場して、力をふるう大人たち。やっぱりあの子には自分がいないとダメだと、おごり笑う大人たち。そろそろ気づいてください。あなたたちの子供は、そんなこと、誰も頼んでいない。いつまでも子供を見くだすのはやめてください。みなさんは、子供の行く道になにかトゲがあると、ひとつひとつ丁寧に摘み取って、もう大丈夫だと言う。たくさんのものを与えては、子供たちに自由に歩けと微笑む。どうして気づかないんですか。それが子供に 『あなたは なにもできない子だ』 と、毎日、言い聞かせてることなんだって。あなたたちが子供にあげたのは、これ(ものさし)だけだ。誰かよりも恵まれている、誰かよりもいろんなものを持っている、そんな大人の価値観で作った おかしな ものさしを、よかったねって押しつける。子供たちは、大人からもらった そのピカピカのものさしで背比べをはじめる。そして、横にいるはずの人を勝手に下に見て、見くだした人を叩きはじめるんだ。こんなに自分は自由なんだ、すごい人間なんだって、一生懸命まわりに訴えるように・・・。そんなことするのに理由なんてない。なんとなくムカつくから、なんとなく うざいから。そこに自分の意志なんて、これっぽちもない。でも、ほかの人を傷つけてまで、ひとの上に立つことは、そんなにも大事なことなんでしょうか。この世の中から格差はなくならない、と須堂夏樹くんは言いました。きっと幼いころから、一等賞を取るとほめられて、悲しい人を見ると、ああいう人には ならないようにと言われて、いつだって、誰かと比べることを教えられてきたんだ。(それが)おまえの将来のためだ、と。でも、たぶん、いちばん ほめてもらいたかったのは、自分自身の力で何かをやりたい、目指したいと思ったとき。(中略) わたしがおじいちゃんから教えてもらった ものさしには、目盛りが三つしかありません。 『嘘をついてはいけません』 『ひとに迷惑をかけてはいけません』 『ひとには優しくしなさい』 ――。それ以外は、全部 自由です。あなたたちから見たら、わたしは なにも持っていない子供かもしれない。でも、だからこそ、なにが欲しいのかって、一生懸命 考えた。将来、なにになりたいのか、夢を見ようと思った。その答えはまだ出てないけど、でもわたしはそんな毎日がとても自由だと思った。(中略) わたしたち子供に、大人のものさしなんていらない。誰々くんより進んでいるとか、誰々さんより遅れているとか、そんな言葉はもう聞き飽きた。そうやって ものさしだけ渡して、自分たちが守ってやるから自由に生きろなんて。わたしたちの自由は、親の手の中で測れるほど安いもんじゃない」


日本テレビ/2015年2月14日放送
【脚本】
吉田智子
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