「死を怖れるのは、結局、生きる意味を見出せずにいるからだと、オレは思います」



「(パン屋か、)うらやましい仕事だな。オレは仕事でなにかを作ったことがない。(刑事は)失うのを見ていくばかりだ」



「ぼくみたいな人間は地獄に落ちると思ってるでしょ。そう思うことだけが、いまの あなたの救いだ。でもね、天国とか、地獄とか、そんなものは存在しやしませんよ」



「おまえは目を そむけてるだけだ。鏡から目をそむけてる――。誰かを愛した人間は、そのひとと会えなくなることを怖ろしいと思い、罪を犯した人間は、その罪の報いを受けることに おびえる。人間は死ぬ間際、走馬灯を見るらしいが、実は その正体は、鏡なんだ。自分の人生という鏡、おまえは その鏡と向き合うことを怖れている」


テレビ朝日/2019年5月19日放送
【脚本】岩下悠子/【原作】薬丸岳