「世間に ようやく芽を出しかかった若者の起こした小さな・・・とも言えないが、ひとつの事件が、雑誌やテレビに毎日 取り上げられ、それに飛びつく大衆がおり、そのことで儲けるマスコミがあって・・・。毎度のことながら、それは われわれ日本人の、卑しく、残忍な心の内側を悲しく露呈する現象であって・・・。だが、それを誰ひとり止めようとしなかった。止めるどころか、多くの大衆が新たな生贄を痛めつけるその祭に、陰惨な喜びで参加していたのだ」


テレビ朝日/2019年6月26日放送
【脚本】倉本聰