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明日、ママがいない・第1話 [明日、ママがいない]

「ここにいるおまえたちは、ペットショップの犬と同じだよ。ペットの幸せは飼い主で決まる。飼い主はペットをどうやって決める。可愛げで決める。ときに心をいやすように可愛らしく笑い、ときに庇護欲をそそるように泣く。初対面の大人をにらみつけるようなペットなんざ、誰も もらっちゃくれない」



「おまえたちは、でかいミソがついてんだ。親から捨てられた子供。それだけで充分、色眼鏡で見られる。世間はかわいそうと思ってくれるかもしれない。でも、それは一時的な同情。無関係だから抱ける感傷だ。子供をかわいそうだと思ってる自分に酔ってるだけだ。ミソつきのおまえらが、誰かに手を上げてみろ。あっという間に手のひら返しで、 『これだから親のいない子は』 となる。そうなったら最後、おまえらの人生、詰むぞ」



「くだらん理由で逃げ出して、犬のくせに尻尾の振り方も知らない。そんな犬はいつ捨てられても、文句は言えない」



「あんた、わたしに『親の顔も見たことないくせに』って言ったよな。でも、見てないのは あんたじゃん。血のつながりに頼って、すがって、都合の悪い顔は見ないふり」



「今日、あんたがママに捨てられた日だ」
「違う」
「そう、違う。今日、あんたが親を捨てた日にするんだ」



「失恋は自分からフラないと あとを引く。わたしだって、目の前に親がいたら、自分から捨ててやりたい。でも、捨てる親なんていない。だから、わたしは名前を捨てた。唯一、親が残したのが それだったから」



「優しいママは嘘だったのかな」
「全部が嘘じゃないと思う。でも、大人ってのは、変わるんだよ。あんたが見たのはママじゃなくて、女の顔だ」



「おまえの言う通り、あたしには思い浮かべるママの顔なんてない。でも、これでどうだい。あんたもあたしと一緒だ。思い出してもムカつくだけだから、二度と思い出さなくなる」



「悲しさを吹き飛ばすには、怒るんだよ。それ(をぶつける相手は)はあたしでも、誰でもいいんだ」


日本テレビ/2014年1月15日放送
【脚本】
松田沙也/【脚本監修】野島伸司
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