明日、ママがいない・第8話 [明日、ママがいない]
「ひとをだまし、傷つけ、果ては殺めてしまう。つかまえてみればどうだ。どんな凶悪犯でも、どこか共通しているものがある。顔が浮かばないんだ・・・愛する人の顔が。衝動的な事件を別にすれば、普通の人間は愛する人の顔を思い出せれば、思いとどまる。その人を失望させ、傷つけたくない。そう思って、思いとどまれる。実の親、里親、両親、教師でもいい。決して裏切ることのできない顔だ」
「あの子を天狗にしたくなかった。努力を怠ると “天才” は逃げてしまう」
「わたしはコウノトリです。少子化の日本とはいえ、わたしたちの数も足りず、てんやわんやの忙しさです。言い訳するつもりはありませんが、ときどき間違えてしまうことがあるんです。ときどき間違えて、赤ちゃんを別のひとのところに届けてしまうんです。そこであなたにもう一度、本当のママを選び直していただきたいんです。産んだのは親ではありません。いっぱいの愛情をもって育て上げるのが本当の親なんです。事実の親と、真実の親は違うんです」 →参照(4段目)
日本テレビ/2014年3月5日放送
【脚本】松田沙也/【脚本監修】野島伸司
明日、ママがいない・第7話 [明日、ママがいない]
明日、ママがいない・第6話 [明日、ママがいない]
「暴力を愛情と混同するのはやめなさい」
「おまえたちは、なにに怯えている。おまえたちは、世間から白い目で見られたくない。そういうふうに怯えているのか。だから、そうなる原因になるかもしれない あいつを排除する。そういうことなんだな。だが、それは表面的な考え方じゃないのか。もう一度、この状況を胸に入れて、考えることをしなさい。おまえたち自身が知るあいつは、本当にそうなのか。乱暴者で、ひどい人間か。そんなふうに、おまえたちはあいつから一度でも、そういう行為や、圧力を受けたことがあんのか。(ないの)ならば、なぜ庇おうとしない。世の中がそういう目で見るならば、世の中に向けて、あいつはそんな人間じゃないって、なぜ戦おうとしない。あなたたちはあの人のことを知らないんだって、ひとりひとり、目を見て伝えようと・・・そう戦おうと、なぜ思わない。臭いものに蓋をして、自分とは関係ない。それで終わらせるつもりか。大人ならわかる。大人の中には、価値観が固定され、自分が受け入れられないものをすべて否定し、自分が正しいと声を荒げて攻撃してくる者もいる。(中略) そんな大人になったら、おしまいだぞ。話し合いすらできない。モンスターになる。だが、おまえたちは子供だ。まだ間に合うんだ」
「この世界には、残念だが、目を背けたくなるようなひどい事件や、つらい出来事が実際に起こる。だが、それを自分とは関係ない、かかわりたくない、とシャッターを閉めてはいけない。歯を食いしばって、一度 心に受け止め、なにがひどいのか、なにが悲しいのか、なぜこんなことになってしまうのか、そう考えることが必要なんだ」
「おまえたちは “かわいそう” か。本当にそうか。両親がいても、毎日のように言い争いをしてる、その氷のような世界にいる子供たちはどうだ。両親がそろってるくせにと、冷たく突き放すのか。もっとつらい子もたくさんいる。誰かに話したくても、言えない子だっている。それでもおまえたちは世界で自分がいちばん かわいそうだと思いたいのか。(中略) 違うだろ。うんざりだろ・・・上から目線で、かわいそうだなんて思われることに。なにがわかるってんだ。冗談じゃない。かわいそうだと思うやつこそが、かわいそうなんだ」
「つまらん偽善者になるな。つまらん大人になるな。つまらん人間になるな。おまえたちがつらい境遇にあるというのなら、その分、ひとの痛みがわかるんじゃないのか。寂しいとき、そばに寄り添ってほしい。自分がそうして欲しいことを、なぜしようとしない。一度 心に受け止めるクッションをその胸に持ちなさい。世界に存在するあらゆる汚れや、醜さから目を背けず、一度 受け止めてみなさい。それができる人間は、一方で、この世界の美しさ、愛しさを知ることができるだろう」
「おまえたちは傷つけられたんじゃない。磨かれたんだ」
日本テレビ/2014年2月19日放送
【脚本】松田沙也/【脚本監修】野島伸司
明日、ママがいない・第3話 [明日、ママがいない]
明日、ママがいない・第2話 [明日、ママがいない]
明日、ママがいない・第1話 [明日、ママがいない]
「ここにいるおまえたちは、ペットショップの犬と同じだよ。ペットの幸せは飼い主で決まる。飼い主はペットをどうやって決める。可愛げで決める。ときに心をいやすように可愛らしく笑い、ときに庇護欲をそそるように泣く。初対面の大人をにらみつけるようなペットなんざ、誰も もらっちゃくれない」
「おまえたちは、でかいミソがついてんだ。親から捨てられた子供。それだけで充分、色眼鏡で見られる。世間はかわいそうと思ってくれるかもしれない。でも、それは一時的な同情。無関係だから抱ける感傷だ。子供をかわいそうだと思ってる自分に酔ってるだけだ。ミソつきのおまえらが、誰かに手を上げてみろ。あっという間に手のひら返しで、 『これだから親のいない子は』 となる。そうなったら最後、おまえらの人生、詰むぞ」
「くだらん理由で逃げ出して、犬のくせに尻尾の振り方も知らない。そんな犬はいつ捨てられても、文句は言えない」
「あんた、わたしに『親の顔も見たことないくせに』って言ったよな。でも、見てないのは あんたじゃん。血のつながりに頼って、すがって、都合の悪い顔は見ないふり」
「今日、あんたがママに捨てられた日だ」
「違う」
「そう、違う。今日、あんたが親を捨てた日にするんだ」
「失恋は自分からフラないと あとを引く。わたしだって、目の前に親がいたら、自分から捨ててやりたい。でも、捨てる親なんていない。だから、わたしは名前を捨てた。唯一、親が残したのが それだったから」
「優しいママは嘘だったのかな」
「全部が嘘じゃないと思う。でも、大人ってのは、変わるんだよ。あんたが見たのはママじゃなくて、女の顔だ」
「おまえの言う通り、あたしには思い浮かべるママの顔なんてない。でも、これでどうだい。あんたもあたしと一緒だ。思い出してもムカつくだけだから、二度と思い出さなくなる」
「悲しさを吹き飛ばすには、怒るんだよ。それ(をぶつける相手は)はあたしでも、誰でもいいんだ」
日本テレビ/2014年1月15日放送
【脚本】松田沙也/【脚本監修】野島伸司