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宮部みゆきサスペンス・模倣犯・後篇 [単発]

「悪とはなにか。理不尽に、理由もなく、善良な人間の頭の上に突然 打ち下ろされる、肉体的、精神的な暴力。打ち下ろされた人間が、なぜこんな目に遭うのかわからずに苦しむこと、それが悪。理由がないから苦しむ。理解できないから苦しむ。その魅力に観客が引き込まれる。観客は考える。なぜ? どうして? 真相は? 観客は探し、苦悩し、知りたがって悶絶し、やがてね、ああ、そうか、オレだけは、わたしだけは理解したぞ、謎を解いたぞ、と得意になる。理解とは、打ち下ろす側に自分を置くことなんですよ、慈子さん。(すると)打ち下ろす側に、観客が次々とまわる。そしてね、誰かの頭に今度は彼らが打ち下ろす。皆があちこちで相手かまわず打ち下ろす。圧倒的な暴力を、理解できない頭の悪い連中に、鼻高々と打ち下ろす」



「ひとにはそれぞれ、自分の心の守り方ってのが、あるように思う。そいつは生活だと思う。日常だ。歯を食いしばっても、日常を繰り返す。はらわたが煮えくり返っても、足元が崩れ落ちても、日常を繰り返す。(中略) それだけだ」



「本当のことっていうのはな、おまえがどんなに嘘をついても、どんなに遠くまで捨てに行っても、必ず帰り道を見つけて、おまえのところに戻ってくる。ブーメランのようにな。絶対、おまえに返ってくる」



「おまえはな、どう あがいたって、どんな理屈をつけたって、ゆがんで、壊れて、空っぽの、他人を傷つけて偉ぶってるクズ野郎だ。世間ってのはな、おまえのようなやつが もてあそべるほど、単純なものじゃねえんだ」


テレビ東京/2016年9月22日放送
【脚本】
森下直/【原作】宮部みゆき
注)1段目:実際の台詞は 「善良な人間の頭の上に突然 打ち下(くだ)される」 でしたが、以降の台詞はすべて「打ち下(おろ)ろされる」という言い方でしたので、こちらの判断で「打ち下(おろ)す」に統一しました。
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ナナ

網川の言う悪の定義は説得力がありますよね
悪を体現しようと連続殺人を思いついたのかも知れないけど、そのために犠牲になった
たくさんの罪もない人間がいるわけで
有馬さんが言うとおり人を傷つけて偉ぶってるクズ野郎でしかないんですよね。
by ナナ (2017-05-11 10:32) 

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