美子伝説（時空超越ドラマ＆ドキュメント）

「猿まね・・・大いによろしい。皇后のわたくしがドレスを着ることで、この国が一歩でも前に進むんやったら、お安い御用や。それにな、うちも一度は着てみたい。涼しそうやもん」

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「20億の戦備のうち８割が借金。失った命はロシアよりはるかに多い。これでどうして（日露戦争に）勝利したなどと言えるのですか。たしかに見た目は立派な一等国。しかし、その実は張りぼての一等国にすぎない。（中略）　庶民は重税にあえぎ、田畑は荒れ、遺族たちは路頭に迷う。追いつき、追い越すことに取りつかれているうちに、いつしか足もとから線路がなくなっていた。戦争で勝利してあなた方（政治家）が得たものと、われわれ国民が失ったものを比べたとき、ぼくはこの国の未来に愕然とする」

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「ぼくに口があり、ペンを持つ右手があり、言葉を綴る紙がある限り、ぼくは彼ら（庶民）の代弁者でありたい」

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「ぼくはこの国に捨てられる。いや、ぼくだけじゃない。これから、この国はもっと多くの命を犠牲にして、やみくもに前へ前へと進もうとするだろう。不道徳な統治者、利己的な資本家、帝国主義という怪物が徘徊する いまの世にあって、わずかに希望と言えるものがあるとするなら、そのひとつが彼女（美子はるこ皇后）なのかもしれない」

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NHK BSプレミアム／2018年1月2日放送
【脚本】佐野達也