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Why? 強くなった? 卓球ニッポン [単発]

「素質がないなら、努力しかない」



「わたしは、このままでは(文化大革命によって)中国の卓球は壊滅すると思ったのです。国は違って、言葉は違っても、いざ卓球をやってみると、そのひとの卓球から、ああ、このひとはすごい修行をしたな。どれだけの時間を卓球に割いたか、どれだけ摂生をしたか、というようなことが わかるんです。そういうひとたちは、たしかに競争相手・・・敵ですけれども、やはり、後継者なのです。こういうひとたちの卓球も葬られてしまう。もったいない。なんとか、再び中国卓球に出口を与えたいと思いました」



「ローリスク、ローリターンというのは、なかなか得点に結びつかない技術とか、戦術です。相手がミスをするまで つなげよう。こういう考え方でフォームや戦術を作り、そういう考え方の反応を大脳の回路の中に作ってしまうと、あとで なかなか大変だ。だから(卓球の)初等教育が大事なんです」



「卓球のスマッシュの初速は、時速190キロ。スマッシュが自分のラケットに届くまでの時間は、わずか0.18秒。10才を過ぎてからピークを迎える身長や、力強さの発達とは違い、卓球のラリーに欠かせない神経系の発達(動作の習得)は7、8才までにピークを迎えるという。(だから、卓球は初等教育が重要になる)」



「空間。ボールをどこに、どう送るのか。時間。どのぐらいの速さなのか、ゆるさなのか。回転。どんな回転を使うのか。この3つを組み合わせて、個性的なゲームを作る。わたしがなぜ強かったのかといえば、ゲームの達人だったと思うんです。卓球とは、空間、時間、回転の芸術なんです」



「気になるってことは、一見、本筋と関係ないようでも、どこかで つながっていることがある。そこを掘り下げなければ、誰が取材しても おんなじだ」



「まだ優勝したわけでもないし、その力を備えたわけでもありません。将の将たるものは、一得一失に一喜一憂することなくお願いします。世界で1回や2回 勝っても『まぐれです』『ごっつぁんです』が最適の言葉と思います。選手が高揚すれば鎮め、落ち込めば励ます。自らは舞い上がらず、一歩一歩 確実に、世界制覇を実現するようお願いします」



「国際卓球連盟は、ほかのスポーツと違った大きな特色を持っています。それは初代会長の時代から同じで、自由・自立への歩みです。なにからの自立かといえば、政治とか宗教からの自立――。およそ90年前に国際卓球連盟が創立したとき、憲章が作られたんです。憲章では、こう定められていました。国旗・国歌は使わない――。(中略) 絵の展覧会でも、おそらく国旗は飾らないでしょう。音楽コンクールでも・・・もしバイオリンコンクールで日本人が優勝したとしても、国旗を掲げ、国家を演奏するというようなことは考えられません。そのように、本当に芸術として独立した時代が、いまにスポーツにもくるかもしれませんが、いまのところは華やかなオリンピック運動に参加するために、(国旗・国家の使用を是とする)貴重な犠牲を払ったと考えています」



「スポーツは芸術であり、スポーツマンはアーティストです。最初は、ただ技を覚えるだけですが、スポーツというのは、最終的には自己表現です。自己実現といってもいいです。どんな絵からきはじめても、最終的には自分の個性にあった絵になっていきます。そういう方向へ卓球の技も磨いていけばいいのです。日本卓球が世界で勝つということは、最終目標ではない。最も小さなボールを扱う卓球が、時として最も大きなボール、すなわち地球をどよめかす快挙をやってのけます」


NHK BS1/2018年7月29日放送
【脚本】
坂田能成
注)7段目:アジア競技大会で団体戦3位になった日本チーム監督に、荻村伊智朗が送ったFAXの文面
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