「振り込め詐欺って、誘拐と同じなんです。自分より大事な子供が怖い思いをしている。一刻も早く助け出してあげたい。そのための お金なら いくらでも払う――。構造は同じです。(誘拐と違って、誰も傷つけていないし、殺していない?)これは詐欺被害に遭ったことによる自殺者の数です。去年わかっているだけでも、都内でふたり。なにも悪いことをしていないのに、ダマされたほうが悪い。悪いのはバカな自分だって、自分を責めて命を絶ってしまったひとの数です。これでも(富の再分配をしている)詐欺は社会の役に立ってるって言える? (勘違いして、勝手に死んだだけ?)そうね、たまたま弱い人に当たってしまったのよね。要するに、あなたたちは相手を選んでいない。無差別に銃を撃っているようなものです。相手の家族構成や預金額は知っていても、どんな性格で、どんな暮らしをしていて、どんなことに弱くて、どんなことに喜んで、どんなことをして今日まで生きてきたか、そこまでは知らない。誰でもいいんです。お年寄りで、お金さえ持っていれば、誰でも・・・。(中略) あなたたちは高齢者とひとくくりにして、その顔を見ない。見ないようにしてる。じゃないと、気づいてしまうから。自分たちが、本当は弱い者から奪ってるんだってことに、気がついてしまうから」


NHK/2019年8月31日放送
【脚本】安達奈緒子