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神様のカルテ・第2話 [神様のカルテ]

「友の凱旋を心から祝福する。都落ちなら、さらに めでたい。出世するより、人間でいられる」



「次郎はガサツだが、本気の医者だ。本気だから、ガサツとも言える。あいつから本気を取ったら、ただのガサツな怪獣だ」



「日本の医療は、医者とその家族を犠牲にして、やっと成り立っている。ぼくらの良心に無理強いをして、やっと面目を保っている。そんなのは狂ってる」



「おそらく進藤先生はいま、窮地におられるんでしょう。だがね、彼のそばには、砂山先生、栗原先生、あなた方 友人がおられます。窮地に陥ったとき、独りじゃないってことはね、とても重要なことなんですよ」



大狸おおだぬき先生はね、あのひとはね、ま、言ってみれば、類まれなる杜氏とうじだね。そうそうそう、(酒を造る)杜氏。あの大狸先生の手からはね、理想の医療なる吟醸酒が尽きぬことなく湧き出てくるんだ。それはね、医者と家族の犠牲の上に成り立つ酒ですよ」



「人生は はなから不条理で できている。おまえが渾身の力を そのかいに注いでも、進めぬときは度々ある。それでも船を進めたいなら、『われは どこそこへ向かうゆえ、道をあけてくれ』と、ほかの船に呼びかけるのが筋である。看護部に事情を説明してから帰るか、(インフォームドコンセントを希望している)四賀しがさんのもとに顔を出してから帰るか・・・おまえが どうしても船を進めたいなら、どちらかを選ばねばならない」



「苦しいお酒は、いちさんの分まで飲みます。楽しいお酒は、一さんと一緒に飲みます」



「治らぬ患者と相対するのが、医者の領分ではないとおっしゃるなら、そういう患者をどうしろと? 治らぬ患者は、病院から出ていけとでも? (地域医療の現状を)承知はしていても、ゆずれないものがあります。(これは)医者の話ではない。人間の話をしているのだ。わたしたちは人間だ。その人間が死んでいくのが、病院という場所だ。いやしくも一個の人間が生死について語るなら、手帳も、そろばんも、肩書も投げ捨てて、その身ひとつで言葉を発するべきではないか。かかる態度を、くだらない理想論と笑うのは結構。しかし、あえて このバカバカしい理想論を押し立て、かつ推し進めていかなければ、いったい誰が この救いがたい環境の中、正気を保って働き続けられるというのです。満床のベッド、過酷な労働環境と医者不足・・・そんなことは わかり切っている。しかし、かかる逼迫ひっぱくした環境でもなお、医者には成し得ることがあるという確信を決して捨てないこと――。その確信があればこそ、24時間、365日、わたしたちは働き続けることができるのです」


テレビ東京/2021年2月22日放送
【脚本】
森下直/【原作】夏川草介
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