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桶狭間 OKEHAZAMA ~織田信長 覇王の誕生~ [単発]

「おぬしらは、貧しき家の者どもじゃ。されど、家がひとを作るのではない。ひとが家を作るのじゃ。古きもの、強きものに屈するな。新しき己のために戦え」



「よいか、帰蝶きちょう。まだ幼くとも、女子おなごとして生まれたからには、わしは いずれ そなたをまつりごとに使わねばならぬ。これ(懐剣)を持っておけ。この先 嫁いだ家で、誰が敵で、誰が味方か、いずれ己の目で確かめなばならぬときがくる。たとえ夫であっても、敵とみれば殺めるか、それとも自害を選ぶか。それも、そなたが決めねばならぬ」



「下剋上だけでは、下が上になっただけのこと。その力も やがて滅びましょうぞ」



いくさも商いも、明日をも知れぬもの。明日を求めては なりませぬ。この身が滅びず、今日と変わらぬ明日が続くと思えばこそ、ひとは変化へんげを怖れまする。明日をあてにすれば、ひとは あらゆるものを抱え込み、それを守ることのみを求めましょうぞ。求めるならば、この身が滅びたあとも、遠い明日こそを求めるべきでござる。それがしは常に変化を求め、いまと戦うことを求めまする」



「槍や種子島(銃)がいくらあったとて、それを備えて敵陣に突き進む家臣がうては、役には立ちもうさん。(中略) いくら礼儀をわきまえていても、戦えぬ家臣は無駄と存じまする。それがしと家臣は、敵からも、約定からも、決して逃げませぬ。それを信じて下さりませ」



「戦は、ただ勝てばよい というものでもない。正しき者が、正しき世を治めるは必定。その道を示すのが、まことの戦ぞ。信長のごとき、力のみでそれが かなうと思うは、愚かなり。愚かなる者は、必ずや血気にはやる。われらは、この高見より それを待てばよい」



「奇襲ではあるまい。(千秋せんしゅう佐々さっさは)攻め急いだのじゃ。信長の下知げちでもあるまい。功を急いだのじゃ。信長の家臣は、己のおもむくままに動くのじゃ。かような者が はびこる世になっては、嘆かわしいことよ。なにが下克上じゃ。見よ、これが信長に従いし者の末路ぞ。義と欲を はき違えた者の行く末ぞ」



「これまで、わしの知る主君とは、家の名を大事にし、それを守り、大きくすることのみを、考えるものと思うていた。だが、信長様は違う。信長様は この世を大きくすることのみを、考えておられるようじゃ」



「こたびの戦は はなから、貴公に それがしが会えれば勝ち、会えねば負けと、存じておりました・・・この桶狭間で」



「受け継ぐにあらず。新しき世は、己で作り出すものじゃ」


フジテレビ/2021年3月26日放送
【脚本】
大森寿美男
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