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わげもん ~長崎通訳異聞~・第4話(最終回) [わげもん]

「違う生まれ、違う言葉、違う目の色――。通詞ていうとは、違うもんを ひとつひとつ つないでいくのが生業なりわいたい。おいは、もっと おまえと語りたか。おいのことが、こん町のことが、憎かなら なおさら。刀や鉄砲ば手に、向きうとやなか。言葉で近づきたか。おいは通詞やけん」



「水も、食いモンも、いらねえ。(中略) オレは施しが欲しいんじゃねえ。ぶんどりたいんだよ」



「おまえらに わかんのか・・・海の上を漂うってことが、どういうことかよ。あん? 嵐ン中、帆柱 切り倒して、己の手で行き先 断つんだよ。仲間をなくし、望みをなくし、涙をなくし、心をなくす――。物と交換され、船 乗り継ぎ、船底で言葉を覚えた。下等な言葉だ。食いもんくれ、水が飲みてえ、小便さしてくれ。売らないでくれ。殺さないでくれ。殺さないでくれ。殺さないでくれ・・・」



「生きるための言葉が、下等なはずない。生きようとした あなたが、卑しいはずない。食べ物をくれ、水をくれ、小便がしたい、殺さないでくれ――。全部、全部、生きるために大切な言葉じゃないか」


NHK/2022年1月29日放送
【脚本】
宮村優子
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