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風よ あらしよ・第2話 [風よ あらしよ]

「あのひと(平塚らいてう)は なんだかんだ言っても、お嬢様だからね。青鞜せいとう社も最初のうちは貴族趣味みたいなとこにピッタリはまったんじゃないかな。でも、彼女には いささか風が強すぎた。世間によるところの風が強くなればなるほど、もろい。その点、野枝のえさんは違うでしょ。風が強くなればなるほど、前へ前へと進む。平塚さんよりも、ずっと遠くまで歩いていこうとしている」



「わたしは所詮、書くだけの人間。本当は それしかできないのに、多くのことをやりすぎた。結果、疲れて、ひとの前に出るのが嫌になって・・・いま、ここにいる。だから、書くものがなくても机に向かうのは、せめてもの罪滅ぼしね。これで、机にも向かわなかったら、バチが当たるわ」



「(自由恋愛の実験なんて)芝居がかって難しいこと言ってましたけど、ただ単にスケベなだけじゃありませんか」



「あなたは随分と簡単に考えておいでのようですけど、多角的な恋愛関係を結ぶという選択は、ここにいる神近かみちかさんにとっても、わたしにとっても、そして奥様の保子さんにとっても、大変 重要な問題なんです。きっと、あなたには痛くもかゆくもないんでしょう。だけれどね、大杉さん。わたしたち女は満身創痍なんですよ。もし、あなたの言う自由恋愛をわたしたち女が受け入れた瞬間から、世間の目にさらされて、ハレンチだ、不道徳だ、無分別だ、愚かだと、散々にそしられる。普通に表を歩くことさえできなくなる――。そういうツラさを、男と女の間に横たわる不公平を、大杉さん、あなたは一度でも まともに考えたことがありますか。わたしたち女が生きていく上での苦しみを、ホントに考えたことがありますか」



「強い向かい風に立ち向かうためには、ふたりは一緒にいるべきなんだ」


NHK BSプレミアム/2022年9月11日放送
【脚本】
矢島弘一/【原作】村山由佳
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