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エルピス -希望、あるいは災い-・第10話(最終回) [エルピス]

「自分の仕事を、ちゃんとやりたいだけじゃん。なんの罪もないひとが、これ以上 犠牲になるのを見ていたくないだけじゃん。ひとりの人間として、まともに生きたいだけじゃん。なんにも無茶なこと望んでない。当たり前の人間の普通の願いが、どうして こんなにも奪われ続けなきゃいけないのよ。こんなにも心の中のいちばん大事なものを押しつぶされながら、どうやって生きていけばいいんだよ。どうやって希望を持てばいいんだよ」



「わたしたち(テレビ局の人間)が圧力に屈して、本来の役割を怠ったがために、どれだけのひとたちが犠牲になってきたか、想像してみたことある? そのひとたちに言えると思う? 『すいません、番組のほうが大事だったんで』って。そして、同じことを、この先も続けていけると思う? わたしは やっぱり言えないと思った。わたしは もう誰の信用も裏切りたくない。信用を裏切るってさ、そのひとから希望を奪うってことなんだよ」



「この国の司法は正しく機能していない。すでに危機なんです。病人は自分の病名を知らなければ、正しい治療なんてできない。どころか、明らかに病気であるにもかかわらず、明日の仕事に差し支えるからという理由で、その事実を教えてもらえないなら、そんな体は近い将来どうなりますか。『知らせる』というカードを切ったときの責任は、わたし個人に負いきれるものではないかもしれません。でも じゃあ、『いま知らせない』というカードを切っているひとは・・・そのひとは、その責任を負えるつもりで切っているんでしょうか。わたしには、そうは思えません。そして、それが最善のカードだとも思いません」


フジテレビ/2022年12月26日放送
【脚本】
渡辺あや
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