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エルピス -希望、あるいは災い-・第10話(最終回) [エルピス]

「自分の仕事を、ちゃんとやりたいだけじゃん。なんの罪もないひとが、これ以上 犠牲になるのを見ていたくないだけじゃん。ひとりの人間として、まともに生きたいだけじゃん。なんにも無茶なこと望んでない。当たり前の人間の普通の願いが、どうして こんなにも奪われ続けなきゃいけないのよ。こんなにも心の中のいちばん大事なものを押しつぶされながら、どうやって生きていけばいいんだよ。どうやって希望を持てばいいんだよ」



「わたしたち(テレビ局の人間)が圧力に屈して、本来の役割を怠ったがために、どれだけのひとたちが犠牲になってきたか、想像してみたことある? そのひとたちに言えると思う? 『すいません、番組のほうが大事だったんで』って。そして、同じことを、この先も続けていけると思う? わたしは やっぱり言えないと思った。わたしは もう誰の信用も裏切りたくない。信用を裏切るってさ、そのひとから希望を奪うってことなんだよ」



「この国の司法は正しく機能していない。すでに危機なんです。病人は自分の病名を知らなければ、正しい治療なんてできない。どころか、明らかに病気であるにもかかわらず、明日の仕事に差し支えるからという理由で、その事実を教えてもらえないなら、そんな体は近い将来どうなりますか。『知らせる』というカードを切ったときの責任は、わたし個人に負いきれるものではないかもしれません。でも じゃあ、『いま知らせない』というカードを切っているひとは・・・そのひとは、その責任を負えるつもりで切っているんでしょうか。わたしには、そうは思えません。そして、それが最善のカードだとも思いません」


フジテレビ/2022年12月26日放送
【脚本】
渡辺あや
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エルピス -希望、あるいは災い-・第9話 [エルピス]

「権力っていうのは瞬殺しかないんだよ。いかに一撃で倒すかだ。もたもたしてたら、反撃 ぶっ食らう。裏 取ってないスクープなんかは、ゴシップ誌は飛びつくかもしれないけど、まともなテレビや新聞は、真偽が確認されないことには まず やってくれない。そんなことをしているあいだに、敵は また全力で裏が取れないように つぶしてくるよ。」


フジテレビ/2022年12月19日放送
【脚本】
渡辺あや
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エルピス -希望、あるいは災い-・第8話 [エルピス]

「当たり障りのないことだけ、やってたいってことっすか。まあ、いいんじゃないっすか。自分たちの立場を損ねないためだけの努力を、勝手に『堅実で丁寧(な報道)だ』とか呼んでれば」



「いまは どこもそうだよ・・・本物のスクープなんて、リスクが高すぎるから、みんな やりたがらない。その代わり、どこかが言い出して、『あれ、やれるみたいだな』ってなったら、みんな どどって乗ってくるから」



「できる限りのことはする――みんな、そう言いますよね。できないんなら言わなきゃいいのに、言いたいだけでしょ。いちばん卑怯っすよ」


フジテレビ/2022年12月12日放送
【脚本】
渡辺あや
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エルピス -希望、あるいは災い-・第7話 [エルピス]

「権力者のところには、みんな とんでもないこと頼んでくるもんですよ。アイドルのプレミアチケットを取れとか、切れちゃったパスポートを今日中に発行させろとか、交通違反を取り消せとか・・・。だけど、もちろん権力者だって魔法使いじゃないから、聞ける無理と、聞けない無理があって、あのひとたちもバランス見ながら判断するわけですよ」



「再審請求とか、DNA再鑑定とか、そういうのは もう絶対 動かせない気してきました。やっぱ(検察は)開かずの扉って言われてるだけありますよ。なんか人間が作ったとは思えないぐらい重たいっす」



「組織が一度でも罪を犯してるとダメなんですよね。抜けない毒針みたいなもんですよ。時間をかけて全身に毒が回って、気がつけば再起不能。自滅への一本道ですよ」


フジテレビ/2022年12月5日放送
【脚本】
渡辺あや
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エルピス -希望、あるいは災い-・第6話 [エルピス]

「このひとは大事なことを絶対に言葉にしない。ただサインだけを送ってくる。サインはそれを読み取る者に呪いをかける。問い返しを封じて、疑問の渦に迷わせる」



「あふれる才能ってのは、文字通り あふれてくるもんで、自分で止められるやつなんていねえ。つまり、それは同時に厄災でもあって、なにか大事なモンを人生から押し流しちまうことも間々ある」



「真実を伝えられないなら、キャスターなんて、ただの嘘つき人形です。」



「日々、ニュースは世界に生まれ、駆け巡り、刻々と変化する。(中略) そもそも人間が追いつけるはずもないものに、無理やり追いつこうとして、わたしたち(報道の人間)は・・・本当に追いつけるはずのものにさえ、追いつけなくなってしまうのかもしれない」


フジテレビ/2022年11月28日放送
【脚本】
渡辺あや
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エルピス -希望、あるいは災い-・第4話 [エルピス]

「(この職場で働く以上)おじさんたちのメンツとプライドは地雷なの。死んでも踏まないように、歩かなきゃいけないんだよ」



「相変わらず、きみの世界は きみを中心に回ってんだな、小学生みたいに。きみが思ってるより、世界は きみの関与してないとこで回ってると思うよ」



「ぼくは なにに勝ってるっていうんですかね。あ、いや、ぼく ずっとママに そう言われて育ってきたんですよ。裕福な家に生まれて、小学校から大学までずっと明王で、大手テレビ局で働いてる人生の勝ち組なんだって。でも、ぼく 本当は なににも勝ててないんじゃないかって気がするんですよね。ていうか、結局 ぼくとママは、より負けてきたんじゃないかって。自分たちは勝ち組なんだって思い込むために、必要以上に負けてきただけなんじゃないかって」


フジテレビ/2022年11月14日放送
【脚本】
渡辺あや
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エルピス -希望、あるいは災い-・第3話 [エルピス]

「自分たちの中にイジメを苦にして自殺していったやつがいたことなんて、1日も早く忘れたもん勝ちなんです。考えず、悩まず、ただ鼻を利かせ、長いものに巻かれる――。それが人生に勝っていくってことなんですよ、どうやら」



「およそ物事は、それが語られるに ふさわしい位相を求めるものです。あなたが お知りになりたいことは、言語なんて目の粗い道具だけで すくいきれるものではありませんよ」



「本当に これが正しいことなら、勝手に味方はついてくるし、道はひらけていくんだよ、たぶん」



「リスクとかバランスを理由に、結局、新しくもなく、良くも悪くもない企画しか通してもらえないっていうのは、やっぱり なにか おかしいっていうか・・・。そろそろ、そういう番組の姿勢自体を見直すべきときが きているんじゃないかと思うんです」



「浅川さんは ぼくらみんなを置き去りに、たったひとりで、正しさに突っ走っていってしまった――」


フジテレビ/2022年11月7日放送
【脚本】
渡辺あや
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エルピス -希望、あるいは災い-・第2話 [エルピス]

「(MCの)浅川恵那えなが なにに注目してるかを決めるのは、浅川恵那じゃねえの。浅川恵那はオレら(番組スタッフ)が、浅川恵那が注目してることにしたいニュースを、あたかも ホントに注目してるみたいに読むためのひとなの」



「不倫で飛ばされた元スポーツ局ディレクター、報道で邪魔者扱いされたプロデューサー、スキャンダルで降板した女子アナ、学歴だけで入社したボンクラ新人――。落ちこぼれ者たちの受け皿、それが『フライデーボンボン』。才能なくても、頑張らなくても、生きていける場所。だけど、わたしは それを安定だなんて呼ぶのはイヤだ」



「大きな権力というのは、それはそれは簡単に、自分たちの都合で、弱いモンを踏みつぶすもんですよ。あっちで ぷちぷち、こっちで ぷちぷちっとね。決まって選ばれるのは、つぶしたときに あまり大きな音を出しそうにない者たちです。社会的な力を持たず、家族もなく、叫んだとしても声が小さい――」



「この国の死刑は、いつ執行されるかも、順番も、決まってないって知ってますか。お偉いさんの都合で、いつでもいいんですよ。なんか よく 突然まとめて されたりしてるでしょ・・・ゴミでも捨てるみたいに」



「(あなたは)報道部のエースだし、将来性あるし、ちょっとくらい女癖が悪くても、わたしを本気で愛してくれてるわけじゃなくても・・・プロポーズしてもらって、結婚を機に退社ってことにできれば、勝ちだって、本気で思ってた。それで 最大限 幸せを追求してるつもりだった。なにもかも捨ててから、自分が どれだけ狂ってたか やっとわかりました」


フジテレビ/2022年10月31日放送
【脚本】
渡辺あや
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エルピス -希望、あるいは災い-・第1話 [エルピス]

「きみは自分を善人だと思ってるんだろう・・・争いを好まず、安寧を旨とする、要するに、取るに足らない凡人であると。物事を動かす力など あるわけもないと。しかし、きみ、それは逃げだ。善人とて戦うべきときがくる」



「(深夜番組の)『フライデーボンボン』はさ、パンチラなの。牛丼屋の紅しょうが。なくても全然いいんだよ。なくても世界は回る。だけど、あるとうれしい。あると、人生が こう ほっこりする」



「誰も自分たちが報道したことの責任なんて、振り返りたくないんだよ。だから報道って、みんな必要以上に、忙しい、忙しいって、時間ないふりして・・・」



「わたしが特集でやった冤罪は、脱税と横領と痴漢で、刑期は せいぜい3年とかだった。死刑囚とかは、扱えなかった、怖くて。(きみは)覚悟できてる? 失敗したら、そのひと 普通に死刑になるよ。それを受け止める覚悟できてる?」



「闇にあるモンってのはな、それ相応の理由があって、そこにあんだよ。おまえらごときが、オモチャみてえな正義感で、手 出していいようなことじゃねえんだよ」



「世間っていうのは、自然界なの。ジャングルには、トラがいるし、海にはサメがいて、川にはピラニアとか、アナコンダとか いるよね? 同じように、ぼくらが生きてる この世間にも、いろんな怖い生き物が、目に見えない縄張りを張ってたりするんだよ。どこに なにがいるかも わかってないようなガキが、ぶんぶん 棒 振り回したりしたら、大変な目に遭うってこと」


フジテレビ/2022年10月24日放送
【脚本】
渡辺あや
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