SSブログ

霊験お初 ~震える岩~ [単発]

「ひとの心には火がある。愛情の炎もあれば、憎悪の炎もある。成仏できぬ思いは、ときに火の玉となって この世に残る――」



「『助けて』と言えるやつは強いんだよ。自分の弱さを受け止める強さがあるってことだ」



「うなぎは秋から冬にかけて、いちばん脂が乗ってくる。身がやせている夏は、本当は食べごろじゃない。根拠がなくとも、世間で信じられていることが思いのほかあるものです」



「(『忠臣蔵』の一件は)当時、公儀がきちんと原因を究明せず、いい加減に裁いたということですよ。理由など どうであれ、内匠頭たくみのかみは即日 切腹。浅野家は断絶。そういう結論ありきの お裁きだった。その結果、世の中にどう影響を与えたか? 城内で刀を抜けば死罪、それがわかっていて斬りつけたのだから、浅野は吉良きらに よほど腹に据えかねることがあったに違いないと、誰しもが噂した。なにより、そう考えたほうが面白い。面白い話は、たとえ それが嘘であっても流布しやすいもの。また嘘というのは、ときとして真実よりも わかりやすく、美しい形を持っているもの――。赤穂浪士は武士。忠義を果たすために、当然 討ち入りをするはず。いや、しないわけがない。そういう立場に浪士たちは追い込まれた。『忠臣蔵』とは、お上の いい加減な裁きが招いた悲劇。討たれた吉良も不幸だが、討つ浅野も不幸。運命に翻弄された者同士だった――」



「誰の心にも、恐ろしい鬼がんでるのかもしんねえ。でもな、鬼にならせるのも ひとの心なら、救うことができるのも ひとの心じゃねえか」



「大切なひとを優しく包む炎も、一歩 間違えれば相手を焼き尽くす――」



「正しいことをしても、不幸になることがある。そうなれば、この世は地獄――。大切なものを守りたい。でも、守り切れない。だから、連れて行きたい・・・。この世の絶望から守りたい。守るためには・・・殺すしかない」


テレビ朝日/2024年5月4日放送
【脚本】
浜田秀哉/【原作】宮部みゆき
nice!(0)  コメント(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。