トッカイ ～不良債権特別回収部～・第12話（最終回） [トッカイ]
「若いきみたちに、覚えていて欲しいことがある。それは、きみたちが小学校に入るか、入らないかのころ、バブルという狂った時代があり、それが弾けたあと、この国に なにが起きたかだ。多くのひとたちが高騰する株や土地に財産を注ぎ込み、その人生が狂わされる中、ある者は信じられない額の借金を重ねて、やがて踏み倒して、悪質債務者となった。ある者は、長い年月をかけて積み重ねた仕事や大切な仲間を失う羽目に陥った。組織も、国も、上に立つ者が ひとたび舵取りを誤ると、見るに堪えないものがあふれ出す。（中略） バブル崩壊から15年が経ち、この国の経済は ようやく立ち直る兆しが見えてきた。だが、それは一部の政治家や、官僚や、上に立つ者たちの力によるものでは、決してない。この国がバブル崩壊と、それに続く失われた10年を乗り越えることができたのは、物作りの現場や、様々な企業、学校、病院、公共機関、ありとあらゆる場所で、日々、自らの仕事と向き合い続けている市政のひとたちの力によるものだということを、きみたちは決して忘れないでいて欲しい」
WOWOW／2021年4月4日放送
【脚本】戸田山雅司／【原作】清武英利
トッカイ ～不良債権特別回収部～・第９話 [トッカイ]
「高比良ホームいうのは、かなりタチの悪い債務者や。借りたモン返さんちゅうのは、泥棒と同じこっちゃ。そういうやつらから回収できへんちゅうことは、あんたかて泥棒と共同正犯ちゅうことや」
「自分が なにをしたか、わかってんのか。あんたらは、卵を産むニワトリを、目先の肉のために殺したんや」
WOWOW／2021年3月14日放送
【脚本】戸田山雅司／【原作】清武英利
トッカイ ～不良債権特別回収部～・第８話 [トッカイ]
「あんたら官僚に回収の なにがわかるんや？ 債権回収は きれいごとや おまへんで。担保物件から暴力団の連中を排除するには、ときには切った張ったも必要なってくる。そやろ？ それを お役所仕事で やっつけようとしたかて、手続きに これまでの何倍も時間がかかって、タイミングを逸してしまうのは目に見えとる。そのことを、この２年で彼ら現場の社員がイヤっちゅうほど味おうて、しっかりと自分の血肉にしてきよったんや。あんたなあ、官には回収できんでも、民なら回収できる債権が、この世間には ぎょうさんあるんや」
「東坊社長は常々おっしゃっていました。旧住専の処理のため、6850億もの税金を投入することは、罪なき国民を罰するに等しい行為だと。だとしたら、本当に罰せられるべき人間がいる。悪質債務者を化け物に変え、野放しにしてきたのは、われわれ銀行、幹部や経営陣です。あなた方のことです。罪を犯した人間を罰することは、なにも間違ってなんかいない」
WOWOW／2021年3月7日放送
【脚本】戸田山雅司／【原作】清武英利
トッカイ ～不良債権特別回収部～・第７話 [トッカイ]
「銀行や住専、その中にいた人間は、誰もが大なり小なり過ちを犯してきた。でなきゃ、この国はこんなふうにはならなかった。（中略） 狂った時代のせいだなんて、言い訳なんかしない。時代に流されたオレたちの責任なんだ」
「ひとに金を貸すことは、ひとの夢に力を貸すことや。オレはそう信じて、住専の仕事に飛び込んだ。つぶれたかもしれへんけど、オレだって住専の仕事に夢を持ってた。なのに、現実はあんたみたいな化けモンが好き勝手して、ほかのひとの夢や、住専も（中略）ぶちこわしたんやないか。あんたがしたんは、ただの金儲けやない。大勢のひとたちの人生を狂わせたんや。そのこと、わかってんのか」
WOWOW／2021年2月28日放送
【脚本】戸田山雅司／【原作】清武英利
トッカイ ～不良債権特別回収部～・第４話 [トッカイ]
「法律、法律て、崇めたかて、所詮は人間が作ったもんや。穴もあれば、抜け道もある。問題はどう生かすか いうことやな。権力を怖れず、人権を守り、正義を貫く――。そのためには、己が なにを大事にするか ということや。その理念がなかったら、誰もついて来いへんし、肝心の勝負のときでも勝つことはできん。あの『理』という字な、『大きな岩から離れる』という意味があるらしい。どんなに固うて、大きな岩でも、その岩から離れることで、ひとつの筋が見えてきよる。その筋に沿うて割ったら、絶対 割れんと思うとった岩でも、ちゃんと割れる。（住専問題で）国民に これ以上の二次負担は かけへん――そんなことはな、絵空事や思う連中は山ほどおる。けどな、そんな岩かて、絶対に割れる筋はあるんや」
WOWOW／2021年2月7日放送
【脚本】戸田山雅司／【原作】清武英利
トッカイ ～不良債権特別回収部～・第３話 [トッカイ]
「（規制緩和と）言うたら、聞こえはええけども、競争激化の挙句、弱肉強食で強いやつだけが生き延びる始末ですわな。もう、お忘れでっか・・・大蔵省と政府が組んで、不況解消の名目で（おこなった）不動産融資の大胆な規制緩和が、バブルっちゅう醜悪な化けモンを生み出したことを」
「ひとつ忠告しときますわ。わしらの業界じゃ、金を返すぐらいじゃったら、人ひとり殺すほうを簡単に選ぶ連中が、ようけ おりますけえ。充分、お気をつけ下さい」
「サラリーマンが家族を作り、持ち家を買うたら一生安泰――。そんな時代やったら、ひとが ひとらしく生きられたかもしれん。けどな、もう そんな時代、終わったや。バブルが壊しよったんや。ええ会社に入って、一生その会社のために尽くす。それが日本人の幸せ。そんなもん、簡単に壊れる泡みたいな幻想やと、バブルが教えてくれたんや」
「これはな、戦争なんや。戦う相手は悪質債務者だけやあらへん。あいつらを野放しにした銀行や大蔵省、政治家、全部や。（中略） 金で狂うてしもた日本を、努力が報われる社会に戻す。その戦いのためやったら、わしは鬼にでも、ひとでなしにでも なったる。最後の１円まで、死の物狂いで回収する」
WOWOW／2021年1月31日放送
【脚本】戸田山雅司／【原作】清武英利
トッカイ ～不良債権特別回収部～・第２話 [トッカイ]
「83年に一定額以上の融資残高を持つ貸金業者は大蔵省への報告が義務づけられただろ。（悪徳業者に銀行が金を貸さないようにするため）だが、そこには抜け道があった。それが住専だ。住専８社はその貸金法の規制から外された。（大蔵省が住専を特別扱いした）その結果、オレたち銀行は融資不可能と判断したタチの悪い業者を次々と紹介するようになった。その中には、暴力団や、グループに近い連中も含まれていたんだ。住宅ローンで行き詰っていた住専は、ヤクザだろうが、金丸岳雄みたいな金の亡者だろうが、平気で金を貸しまくり、その金はバブル崩壊でたちまち不良債権化したんだ」
「政治家に代わって頭を使うのが官僚の仕事だろ」
「公正と透明――住専問題には、なによりも、まず これが欠けていると、わたしは そういうふうに思うとります。この住専問題は、これまで一方的に政治と行政が仕切ってきた挙句、（6800億円の公金投入という）なんら法基準に基づかない政治決着で片づけられようとしてる。そこが問題なんですね。あなた、納税してますか。それで、住専の借金には、なんか責任があると、お考えですか。その通り（責任はない）ですね。まるで責任のない一般大衆に、税金で住専を救え いうのは、罪なきひとを罰するに等しい行為だと思うんですね。それと もうひとつね、この住専法は単に税金で住専を助けるというだけではなくて、同時にさらなる（税金投入による）二次損失を国民に負担させるという余地が残ってる。そこが問題やと思うんですね」
WOWOW／2021年1月24日放送
【脚本】戸田山雅司／【原作】清武英利
トッカイ ～不良債権特別回収部～・第１話 [トッカイ]
「国民の税金を無駄に使うことにかけては、大蔵省にかなう役所はあらしまへんな」
「（住専の債権回収に）取り駒を使う気か・・・。取った駒を二度と使わんチェスと違うて、将棋はな、取られた駒は敵方の戦力となって、いままで守っとった王さんを、今度はつけ狙うために再度こき使われるんや。つぶれた住専の社員に、こげついた借金を回収させようっちゅう腹でっか」
「たしかに この国には、焼け跡から見事に戦後復興を遂げた市井のひとたちの力がある。そういうひとたちの頑張りを、オレたち銀行マンが支える――。それこそが、金融に携わる人間の義務だ。だが、その当たり前のことが、うちの会社では ないがしろにされてる」
「うちみたいな第二地方銀行は小さな組織だからな。トップが正しい舵取りをしてるときは よくても、間違った方角に進み出した途端、見るに堪えないものが あふれ出す」
「バブルがはじけたのは誰のせいだ。地価の異常な高騰に なんら手も打たず放置していた政府のせいか？ 金に目がくらんだ不動産業者のせいか？ はたまた、そいつらに金を流した投資家たちのせいか？ 金融業界で融資に携わったオレたち（銀行）にまったく責任がないと、本当に言えると思うか」
WOWOW／2021年1月17日放送
【脚本】戸田山雅司／【原作】清武英利
