SSブログ

闇の伴走者 ~編集長の条件・第1話 [闇の伴走者]

「マンガ編集者には、ふたつのタイプがあります。ひとつは、雑誌全体をデザインすることに全力を傾ける編集長タイプ。もうひとつは、マンガ家と一緒になって、マンガをヒットさせることに全力を注ぐタイプ」



「(マンガ編集者たる者、一度は編集長をやってみたいと)最初はそう思うんでしょうね。編集長こそが、野球で言えばエース。相撲で言えば横綱だって。でも、じきにわかります。実際は しがない中間管理職にすぎないって」



「長く連載が続いてるマンガは、マンネリに見えてマンネリじゃない。読者に気づかれないように努力して、工夫してるんだ」



「主人公のこの決めポーズ、規則違反だぞ。これは『挙手注目の敬礼』っていうんだ。外国の軍隊や警察官と違って、日本では『挙手注目の敬礼』は帽子をかぶってるときにするもんだ。帽子をかぶってない刑事は、体を15度に曲げる。つまり、きちんとしたお辞儀が、正式な敬礼ってわけだ。(とはいえ)この決めポーズで何年も前から読者の心をつかんでるんだ。いまさら訂正はムリだな。このままでいこう。だが、編集者たる者、知っててやってるのか、知らずにやっているのか。オレが言いたいのはそういうことだ」



「『ブレイブ』の読者は大人だろ。毎日、忙しく働いてる大人が、前回の(マンガの)展開がどうだったかなんて、ほとんど覚えちゃいない。だから、前の回がどうだったか、必ず思い出すコマを数カット用意しなきゃダメなんだ」



「(マンガ誌が苦戦しているのは)強力な敵が現れたからだと思います。ライバルはスマホにインターネット。ああいったツールの出現によって わかったのは、ひとが いちばん好きなのは自分自身だということです。多くのひとは他人から認められたい、好かれたい、尊敬されたいと思っています。でも、むかしは有名になるのが難しかった。だから、偉大な人物や英雄から学んだんです。本や映画・・・たとえばヒーローを主人公にした こういったマンガから。ところが、いまはどうです。SNS全盛の時代。なにか発信すれば、簡単に賛同が得られる。なにがフォロワーですか。なにが『いいね』だ。電車の中 見てください。マンガ本ひらいてるやつなんていません。ほぼ全員スマホを見ている。みんなみんな自分が好き。ネット界は小さな英雄であふれている。憧れや向上心がなくなれば、もう目指すマンガのヒーローなんて必要ないんです」


WOWOW/2018年3月31日放送
【脚本】
阿相クミコ/【原作】長崎尚志
nice!(2)  コメント(0) 

nice! 2

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。