ワンダーウォール

「はっきり言ってさ、間違ってんだよ、そもそも これまでの寮の方針がさ。完全に失敗してるんだよ。なにが『多様性を認め合う』だよ。なにが『話し合いの原則』だよ。そんな理想主義にのぼせ上ってるから、こんな まとまりのない集団になっちゃったんじゃないかよ。この危機的状況に至って、ちっとも一致団結できないでさ。こんなんで大学当局みたいな権力相手にまともな抵抗なんか、そりゃあ できるわけないじゃないか。もっと画一性を目指すべきなんだよ。抗議にも来ないようなやつは、吊し上げてやればいいんだよ。集団が生き延びるためには、排除だって必要だろ」

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「今日、学生課のさ、窓口のひとが変わってたじゃん。テラトポッドがいなくなってた。それで思った。やっぱりもう（抗議行動は）意味ないって。オレらは、テラトポッドが（窓口に）いて、その上に いつもいない担当者がいて、その上に学生部長、大学・・・だと思ってるから、まずこいつ（テラトポッド）を倒そうとしてきたじゃん。こいつを倒せば、その次に こいつ（担当者）と戦えると思ってさ。だけど、現実はそうじゃなくて、これが倒れたら、また新しい これがここ（窓口）に立つ。ここの人間が部品みたいに取り換えがきいて、どんどん交換されるだけなんだ。ここから先は永遠に出てこない。大学という組織はいま、もう そういう設計になってる」

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NHK BSプレミアム／2018年7月25日放送
【脚本】渡辺あや