エアガール

「パイロットのせいですよ。明らかに飛行高度が不足していました。前方の山並みに気づいて、慌てて高度を上げたんです。それで、あんな（激しい揺れが起きて、佐野さんがケガをした）・・・。日本の地形をよく知る ぼくらなら、あんな低空飛行は あり得なかった。もし ぼくが操縦室に入れてもらえていたら、あらかじめ注意できたのに、彼らは それすら許してくれない。やはり、アメリカ任せじゃダメなんです・・・日本人も操縦できるようにならないと。整備だって、平川さんが危惧しています・・・セントラル機優先で、後回しにされる うちの飛行機は、手を抜かれているかもしれないと。これは、乗客乗員の命にもかかわる問題です」

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「整備やパイロットの人件費はアメリカ基準。しかし、運賃は発展途上の貧しい日本基準。これでは採算が取れない。日本人で すべてを まかなうべきです。そもそも、セントラル航空の整備の遅れによる欠航が、いまの窮状を招いているんです。日本民間航空は日本の航空会社です」

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「日本人の力を過信したからこその、戦争であり、敗戦ですよ。オールアメリカンの企業力があるからこそ、（日米共同航空は）低価格運賃も実現できる。それが日本の発展にも寄与することにもなります。（日本民間航空は）ほうっておいても、いずれ つぶれる会社でしょう。思いだけで立ち向かっても、竹やり部隊と変わりませんよ」

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「思いがあるから、すべてが はじまるんです。欧米に尻尾を振っているだけでは、なにも生まれない。わたしに言わせれば、あなた（白洲次郎）は総理の側近という立場を利用して、日本の未来を海外に売り飛ばすだけのブローカーだ」

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「白洲くんのことは忘れないだろう。絶望の日本の中で、最も したたかに振る舞った商いの賢者としてね。だが、わたしの記憶に深く刻まれているのは、松木静男くんだ。あの信念と、忍耐強い不屈の人間性には敬意を覚える。彼は絶望の中の勇者だ」

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テレビ朝日／2021年3月20日放送
【脚本】橋本裕志／【原案】中丸美繪