生きるとか死ぬとか父親とか・第１話

「独身って麻薬だと思う。それくらい楽しいから。でもね、独身の楽しさって、寂しさと天秤にかかってる。だから、楽しいよりも、寂しいのほうが重くなっちゃう夜なんかに暴走して、『独りで死にたくない。なんとかしなきゃ』って考えるわけです。もう、寂しさから解放されることが人生のファースト プライオリティになってくると、結婚の二文字がね、チラつき はじめるわけですよ」

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「結婚って、なんだろう。（中略）　お母さんが生きてるころ、同じことを聞いたことがあるの。『そのひとのことが死ぬほど好きだった』っていう記憶を、捨てないことよって（言われた）」

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「父も母も、若いころは心底 愛し合っていたのは間違いないだろう。しかし、わたしが物心ついたころには、その面影はなかった。家族としての愛情はあったが、男と女の それだったかといえば、首をかしげてしまう。父は空っぽになった場所を外で満たしたが、母は持て余す心を どう なだめたのか・・・。年月と共に変容していく関係を、どう受け止めたのか・・・。夫婦なんて、そんなもんだと言われれば それまでだが、そんなもんになるまでの、あきらめや、傷心や、後悔は、どこへ押し流されていくのか・・・」

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「『好きだから』とか『好きなのに』っていうふうに、好きっていう気持ちを、なんかこう、ピュアな感情として優先しようとすると、見失うことって多いと思うのね」

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「男のひとの都合で、若い20代の女の子の大切な時間を奪っていく話で、こういうのが いいところに着地したケースって、まあ聞かないですもんね」

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テレビ東京／2021年4月9日深夜放送
【脚本】井土紀州／【原作】ジェーン・スー