家庭教師のトラコ・第７話 [家庭教師のトラコ]
「なんの罪もない子が、虐待や貧困で苦しんだり、あたしより頭の悪いヤツが裏金 積んで 大学 行って、親のコネで一流企業に就職したり。そのくせ、安い給料で こき使われてる真面目なひとは、ケガをしても労災が下りなかったり。それなのに、いつまで経っても この国は予算のムダづかい、横領、天下りの繰り返し。選挙のときは金ばらまいて、必要のないインフラ整備をバンバンやり、揚げ句の果てに、みっともない事件 起こしても辞職しない国会議員に、気前よくボーナスを払う始末。企業のお偉方や資産家だって、内部留保を増やすことや、税金（の納付）を少なくすることばっかり考えて、その分、会員制のレストランやリゾートで湯水のように金を使い、バカ息子や、バカ娘に、バカ高い車や別荘をプレゼントしている。でも、そんなこと いくらSNSで訴えたって誰も聞いてくれないし、神様に祈っても、助けるのは貧しい人間じゃなくて、金持ちのほうばっかり。だったら あたしが、正しく お金が使われる世界を作ってやる」
「あたし、大っ嫌い・・・『ムリ』とか『あり得ない』って言葉。やってみなきゃ、わかんないじゃん。そうやって、自分ひとりじゃ なんもできないって あきらめるから、いつまで経っても変わんないんでしょ、世界は。だから、あたしは なにがあっても あきらめない。世界中の人間にバカにされても、奇跡を起こせるって信じる」
「もう これ以上、あたしみたいな人間が増えてほしくないの。どんなに貧しい子でも、いい環境で勉強できるようにしたいの。独りぼっちで子供を産まなきゃいけないひとが、安心して子供を育てられるようにしたいの。温暖化で ますます ひどくなる災害に遭ったひとが、不安なく生きて行けるようにしたいの。そのためには、いっそ防衛費なんかゼロにしちゃえばいいのよ。武器 増やすこと考える暇あったら、世界中の国と仲良くすること考えろよ。それが、人間として本当にやるべきことなんじゃないの」
日本テレビ／2022年8月31日放送
【脚本】遊川和彦
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