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生きとし生けるもの [単発]

「病棟の奥のほうの部屋――。自分で飯も食えず、全身 管だらけ。胃瘻いろうで流し込んで、起き上がることもできず、おしめ あてて・・・。そこまでして生きたいか。あれは本人の意志なのか」
「いえ、そうとも・・・。医者は命を助けたい生き物です。でも、ぼくは虐待ですらあると思ってます」



「オレ、作家だからわかる。物語は みんな きれい事だ。だから、美しいんだ。死はさ、本人、語れないんだよ、死んじゃうから。だから、まわりが・・・生きてる まわりが語るんだ、美しくね。本人の気持ちなんて わからないよ。映画なんか観てるとさ、最後に都合よく 時間とんで、富士山とか、エベレストとか、骨まいて、エンドだよ。死を恐れる、痛みに苦しむ時間は、ほんの5秒。描写したら、すぐ次のシーンだ。(でも、実際は)死ぬほど長いね。無限に感じるよ」



「ぼくは末期がんの母の最後の3か月が、彼女の人生に必要だったとは、どうしても思えないんです。医療が引き延ばした時間です。彼女はその3か月でなにをした? 苦しんだだけです」



「人間って、産むことにおいては、めちゃくちゃ貪欲じゃないですか。不妊治療もすれば、卵子の冷凍保存もすれば、果ては精子バンク。産むことにおいては、神をも恐れぬ自由さ加減だ。なのに、なんで死ぬことだけ、放っておかれるんだ。見て見ぬふりだ」



「いいか、佐倉。医者はひとの命を救うんだよ。それが使命だ」
「違う。ぼくはひとの人生を救いたい」



「人間は自分のためだけじゃなくて、ひとのために生きてるのかもしれないな。自分のためだけじゃ、味気ないっていうか・・・」



「おまえが捨てようとしてる明日は、誰かが喉から手が出るほど欲しい明日だ。生きてくれ」
 →参照(2段目)


テレビ東京/2024年5月6日放送
【脚本】
北川悦吏子
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