女囚セブン・第８話（最終回） [女囚セブン]
「あんたはん みたいなクソ政治家でも、若いころは立派な志があったんどすやろ。そやけど、ゴマすり続けて、いざトップに立ってみたら、志だけ すり減ってしもうたパターンどすか。それとも、年のせいで志がなんやったか、忘れてしまわはったんどすか。そもそも威張りくさるだけで、ロクな答弁もできひん政治家ばっかりで、うちら庶民はホンマに呆れてますのんや」
「世の中を変えようとして、あんたはん自身が変わってしもうてますやん。それ、本末転倒と違いますか。それでいちばん上に立たはったいま、あなたはんが したいことは なんどすか。そこまでして偉うなって したいことは なんどすか。あなたはんが守りたかったもんは、ここにくるまでに、全部、自分で踏みつぶしてきはったんどす。（中略） 悪いのはあんたはんやない。忖度せんと出世できひん、くだらん社会どす。それと、クリーンな上っ面と、耳ざわりのええフレーズに惑わされて、適当にあんたはんを選んだ有権者どす」
テレビ朝日／2017年6月9日放送
【脚本】西荻弓絵
女囚セブン・第５話 [女囚セブン]
「加害者の家族は泣きたくても泣けないんだ。加害者の家族だって被害者だ。自分は罪を犯してもいないのに、世間から白い目で見られて、子供や孫は就職も結婚もできなくなる。そういうことを考えるほうが、よっぽど犯罪の抑止になる」
「医療の進歩で、ひとがせっかく長生きしても、介護の現場は人手不足。結局、ひとりの老人を、ひとりの老人に介護させる。（中略） ひとに相談すればええ いうたかて、ほかに もっと困ってはるひとが いはるはずやて、遠慮するんが日本の老人どすやろ。この国は老人のひとの良さにつけこんでる。悪いのは あんたはんやない。あんたはんに老々介護のツラい思いをさせた この国どす。うちから言わせれば、老々介護殺人の加害者を国が裁くんは詐欺どす。裁かれるべきは、この国どす」
テレビ朝日／2017年5月19日放送
【脚本】西荻弓絵
女囚セブン・第４話 [女囚セブン]
「人間が遺伝子の乗り物である以上、せっせと子孫を作らなアカン。男は浮気する。女も実は男と同じ浮気する生き物や。それやのに、なんや知らんけど、いまどきは不倫はゲスやて、いちいち世間が大騒ぎして、派手にバッシングしてはりますなあ。あれ、ホンマに必要だすやろか。昔なら長屋の井戸端会議で終わるような、つまらんネタと違いますか。不倫なんか、太古の昔からある文化どす。なくなるわけがありまへん。ウチから言わせれば、あの手のバッシングは不倫できる甲斐性のないモンの ひがみ、ねたみ、そねみ、嫉妬どす。けど、ロクな甲斐性もないのに、けち臭い不倫しはるゲスが『ゲス、ゲス』言われるのは、そら、しゃあないことどすけど。本妻は本妻、あんたはんは あんたはん、それでよろしいやおへんか」
「世の中には、男はんの好みに合わせて、髪 伸ばしてみたり、ジャズを好きになってみたり、七変化する女のひとがいはるけど、そもそも その相手の男はんは、自分を曲げてまで つくすようなひとどすか。一生を捧げるほどの ひとどすか。あんたはんの院長さんとやらはどうどす？ 十年もズルズルされても、しゃあないと思えるほどの男はんどすか」
「世の中のお医者さんは立派なお方が大半どす。そやけど、医者という特権に胡坐をおかきやしたクソ医者がいはるんも、世の常どす。ヘタクソ医者がちょいちょい医療ミスしようが、スケベな医者がどんだけセクハラしようが、医者いう特権で守られてる。ウチら庶民がクソ医者 訴えよう思うたら、時間とお金がかかりすぎて、とてもとても・・・。涙を飲んであきらめるしか、おへん。それが特権階級と庶民の差や」
テレビ朝日／2017年5月12日放送
【脚本】西荻弓絵
女囚セブン・第３話 [女囚セブン]
「保育園 落ちた、日本 死ね――。元ヤンのシングルマザーは大変どすやろなあ。仕事 探すだけでも大変。そのために保育園 入れたくても、仕事がないから落とされる。保育園に入れへんさかい、仕事も見つからへん。シングルマザーの無間地獄ループどすな。ツラいお母さんが増え続けるばっかりで、ちっとも減らんのは なんでどす？ どういう状況で、あんたはんがクズ旦那 殺しはったんか ようわからしまへん。けど、あんたはん、自分がヤンキーやったから、学歴 低うてロクな仕事にも就けへん。クズとしか結婚できひん。養育権さえ取れへん。挙句、クズ殺してこんなところに入るハメになった、と思うてまへんか。どうやら、図星みたいどすなあ。けど、それ、とんだお門違いどすえ。（中略） 日本の男はみんなクズどす。男女平等とか言いながら、家事も育児も、結局は女まかせや。嫁を外で働かせて、家の中でも働かせて、自分はちょっと手伝うだけで育メンや呼ばれるなんて、アホらしゅうてかなわんわ。あんたはんが ぶち当たったのは、クズの中でもキング・オブ・クズどす。そんなクズ男、殺すしかなかったんと違いますか。それとも なにか ほかに手があったんどすか。誰か助けてくれるひとでも いはったんどすか。国どすか、親どすか、警察どすか。悪いのは あんたはんやない。あんたはんを追いつめたクズ男どす。おまけに養育権の行き先 決めたボンクラ裁判所と、保育園もさっさと作れへん しょうもない上のやつらや。上のやつらは所詮、うちら下々のもんを自分の出世のために利用してるだけや。あんたはんにハサミ 渡したあいつかて、そうやおへんか。罪は犯すやつが悪いんやない。犯させるやつが悪いんどす」
テレビ朝日／2017年5月5日放送
【脚本】西荻弓絵
女囚セブン・第１話 [女囚セブン]
「そもそも家族なんてユニット、時代遅れやわ。血がつながってるだけで、ちまちまと まとまって おんなじ家にいるさかい、腹も立つんか、殺しおうたり、お金でもめたり・・・。お正月は集まらなアカン。親はたとえ悪人でも看取らなアカン。なんや知らんけど、あくどいファミリービジネスで大金持ちになったらなったで、世界をお金で買う気になるひとも いはるんは、家族なんてユニットの弊害やわ」
「ひょっとして、あんたはん。世に言う、真っ当に家族の幸せ作って生きられへん自分が悪いとか思ってはんのと違います？ いやいやいや、悪いのはあんたはんやない。あんたはんをそこまで寂しい女にした家族どす。罪は犯すやつが悪いんやない。犯させるやつが悪いんどず」
テレビ朝日／2017年4月21日放送
【脚本】西荻弓絵
