磁石男

「赤い長靴を選んだのは、それが女らしい色だと思ったんだろうが、赤はいちばん男らしい色。征服欲や野心の象徴の色だ。化粧や装飾品は変身願望の充足、自己満足の裏づけ。わたしはこんなに自分に投資して磨き上げたいい女と思っている。結婚相手なんてすぐに見つけられると高をくくっていたが、気がつけば30を越して、これまた気づけば、そんな相手は誰もいないことにあせりだした。こうなったら、次につきあう男が結婚相手と決めるが、その条件に、いままで自分に投資してきた金以上の見返りを求めて、いまのあんたは、どんどんと独身をこじらせている」

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「ビールは喉、ワインは口、日本酒ぽんしゅは腹で飲むのよ」

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「ムリでしょ、女子には」
「30過ぎの女は女子ではない」

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「あんたがどんだけ頑張っても、あの人とは合わない。（磁石で言えば）彼はＮ。あんたもＮ。それも、ただのＮじゃない。見栄とか、ムダな努力とかで、自分を砂鉄のように飾りすぎて、自分でもホントの自分が見えなくなってることに気づけないほどのＮだ。ここまで努力をした。ここまで男を待った。妥協はしたくない。いい男を捕まえたい。他人ひとに自慢したい。そのためのあの男なんだろうが、ムダだ」

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「20代前半だったら、フリーターの自称ミュージシャンともつきあえたけど、30越すとねえ」
「理性がときめきを止める」

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「いい人生と、いい暮らしとは違う」

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「人間の幸せ度は、およそ50％は生まれたときから決まっているという説がある。ほかの10％は収入。残りの40％は、日常的な行動や、自分の身の回りの人をどう受け止めるかによって変わるそうだ」

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日本テレビ／2013年6月13日放送
【脚本】樫田正剛
注）１段目：実際の台詞は 「その条件に合うのは、いままで自分があんたに投資してきた金以上の見返りを求めて」 でしたが、当方の判断で上記のように変更しました。