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夕凪の街 桜の国2018 [単発]

「自分の将来は自分で決めたいじゃん。まあ、だからって、具体的な夢はまだないけど・・・。でも、自分の将来は自分で決めるって、すごい贅沢なことなんだなあって(広島に来て思った)。8月6日に、夢も命も、なにもかも、絶ち切られた ひとたちが あんなにたくさん・・・」



「この街のひとは不自然だ。誰も あのことを言わない。未だに わけがわからないから。わかっているのは、あのとき、死ねばいいと思われ(て原爆を落とされ)たこと。思われたのに、生き延びているということ。そして、いちばん怖いのは、そう思われても仕方のない(原爆症でいつ死んでもおかしくない)人間に、自分がなってしまったこと」



「姉や妹、父を探した。はがれた皮膚を両腕から垂らしたひとたちが、水を下さいと、こっちに来た。怖くて、また逃げた。7日目にかすみ姉ちゃんと会えた。父は職場で被爆し、亡くなっていたと知った。妹もあの日、原爆の熱線で焼かれ、骨すら残らず、消えていた。水と食べ物、薬を探し、死体を平気で またぐようになっていた。ときどき踏んずけて、焼けた皮膚がズルっとむけて いやだった。まだ腐ってない死体を冷静に選び、下駄を盗んで履いた。あれから10年――。幸せを感じるとき、美しいと思うとき、愛しかった日々のすべてを思い出し、すべてを失った日に引きずり戻される。おまえの住む世界はここではないと、誰かがわたしを責め続けている」



「ひどいなあ。10年 経って(原爆症が発症するなんて)、うちはもう大丈夫じゃと思うとったのになあ。(中略) うれしい? 10年 経ったけど、原爆を落としたひとは、やった、またひとり殺せたって、ちゃんと思うてくれとる?」


NHK BSプレミアム/2018年8月6日放送
【脚本】
森下直/【原作】こうの史代
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