倫敦（ロンドン）ノ山本五十六

「軍の本来の任務は、可能な限り戦争を避けることだ。軍備を調えるのは、他国に戦争を仕掛けられないようにするためであって、そのために、いかに戦力を調整するかだけだ」

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「戦争をしないことこそが誇りだ。（中略）　アメリカを仮想敵国として軍備を調え、いざ本当に戦争になったら、どうなる。貴様には、よくわかるだろう。軍縮条約があれば、その途方もなく豊かなアメリカの戦力も、条約の枠内に収めておけるんだ。明らかに、こちらに利のあることじゃないか。軍縮条約は必要だ」

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「海軍が言うままに軍艦 造ったら、国家予算はメチャメチャになる。そうなりゃ、日本経済は にっちもさっちも いかなくなるんだ。いままでだって、海軍は国家予算の２割近くを使い続けているんだぞ。それを更に増やせというのか。そもそも国防なんてのは、字のごとく、国を守れれば それでいいんだよ。国家のための軍であって、軍のための国家じゃないんだ」

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「時間をかけて、粘り強くやっていきますよ。軍縮会議は、武器を使わない戦争ですから」

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「きみは英語ができるのに、どうして通訳を入れるんだい？」
「それは簡単なことです。通訳を使えば、２倍 時間がかかる。相手を観察し、次の手を考える時間を稼げる」

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「貴様は軍人としては成功した。だがな、山本。貴様の世界は、海軍だけじゃない。この日本全体が、貴様の世界のはずだ。（中略）　軍という組織にとらわれず、もっと広い視野で行動しなきゃいけない。そうじゃないか？　いまのまま、せまい視野でいたら、きっと近い将来、この国に災いをなす」

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「この国は いずれ、絶対に勝てない戦争に向かっていくだろう。そうなったとき、貴様以外の誰が、海軍の中で その流れに あらがえるのだ？　貴様は それができる数少ない海軍軍人の一人だ。辞めることは、オレが許さん」

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NHK／2021年12月30日放送
【脚本】古川健