「負けてる人生って、誰かを勝たせてあげてる人生です。最高の人生じゃないですか」
「美しい事件とは、理解の及ばないほどに凶悪な事件のことです。猟奇的な手口、人間社会への挑発――ぼくは幼いころから、そんな事件の数々に書物を通して触れてきました。(中略) 身も凍るような犯罪に立ち向かうために、ぼくは刑事になった。なのに、この国には凶悪犯罪が少な過ぎる。いまや刑事は、監視カメラやNシステムを確認するのが仕事で、ぼくが思ってたのと全然 違う。謎の密室殺人、満月の夜にだけ起こる連続殺人、死体の口に残されたバラの花――。刑事だけ、犯人だけ、頑張ってもダメ。刑事と犯人の二人三脚、そんな犯罪のハーモニーを奏でたい」
「犯罪に謎なんてない。解決できないとしたら、それは きみたちの頭が悪いからだ」
「真の悪には 意味も根拠もない」
「刑事が退屈? 当然だ。きみは犯人になってこそ生き生きとするキラー属性の持ち主なんじゃないの?」
「ぼくたちが隅にいるから、真ん中に立てるひとがいるんです」
「前向きなのは結構だが、社会を悪くする前向きさも あるんだよ」
「この世には、知らなくていいことがある。むしろ、なにも知らないことを、ひとは幸せと呼ぶ」
「真の悪にとって、ひとの命は まるで紙くずのように軽い。人間は そんな存在を恐れるあまりに、動機などという安心できる理屈を・・・」
「他人が死んだからといって、なぜ 自分が死ぬ必要がある? ぼくの事件に、恋愛要素を足して つまらなくするんじゃない」
「いるよな、ああいう遠慮するフリして、実は目立ちたがりの手柄泥棒」
日本テレビ/2022年7月16日放送
【脚本】坂元裕二