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精神分析医(サイコセラピスト) 氷室想介の事件簿2 ~ベストセラー小説に隠された殺人事件の謎~ [単発]

「とりあえず、井上ここみさんに話を聞きにいく。ついてきて。ありがとう」
「お礼を先に言う新しい命令スタイルだな」



「ツラいことを貯めたら、いいことが返ってくるっていう先生の謎理論。もう、ツッコむのも飽きました」



「どうして人間がここまで進化できたのか知ってる? それは優しさがあったからなんだ。動物は普通、群れの中に劣ったやつがいると、その群れから排除したり、殺したりしちゃうんだ。そうしないと、自分の群れが弱くなって、ほかの群れに やられちゃうからね。だけど、人間は自分より弱い者を排除せず、守ることを覚えたんだ。その結果、力は弱くても、絵の才能があったひと、歌の才能があったひと、頭がよかったひと、いろんなひとが生き残って、多様性を持つことができたんだ。それは全部、人間が優しい心を持った おかげなんだ」



「楽しい時間は あっという間に過ぎてしまうのに、どうしてツラい時間は長く感じるのか? それは『概略的情報処理』と『精緻な情報処理』、このふたつの作用によるものなんです。楽しい時間というものは、自分にとって害がないと脳が判断するため、情報処理が曖昧になります。だから、時間が早く過ぎるんです。一方、ツラい時間というものは、自分にとって害がある、危険であると、脳が判断するため、ひとは あらゆる情報を取り込んで、処理をして、その危機を脱する策を練ろうとします。だから、長く感じるんです」



「動物は1時間くらいしか記憶が もたないそうです。人間だけなんです・・・何年も、何十年も、むかしのことを覚えているのって。それって、どうしてでしょう。ぼくは、記憶が人間にとって必要だからだと思うんです。人間は幸せだった記憶、ツラかった記憶――全部、未来を生きるための糧にできる。だから、記憶するんだと思うんです」



「『一貫性の法則』を用いた典型的な心理テクニックだな。『あのころは楽しかったよね』『あの先生、ムカついたよね』なんて、高校時代の共通の思い出を語り、相手に同意――つまり『イエス』という言葉を何度か引き出させる。ひとは無意識に一貫した行動をとりたがるから、そのあとで なにか頼まれごとをされたときに『イエス』と言ってしまう確率が上がるんだ」


BS-TBS/2023年10月1日放送
【脚本】
山岡潤平/【原案】吉村達也
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