コウノドリ2・第10話 [コウノドリ]
「NIPT(新型出生前診断)の結果だけ見て、次の検査(羊水検査)を受けずに中絶って決めてしまうひともいるもんね」
「たった10ccの血を取って検査すればいいっていう気楽さが、そういう親を生んでるんですよ」
「(生まれてくる)赤ちゃんの情報を親が知る権利があるのはもちろんわかってる。だが、その情報を知ったあとで、どうするかを決めずに出生前診断をおこなうのは無責任だろ」
「命は尊い。赤ちゃんが生まれてくることは奇跡だ。平等であるはずの命を選別してはいけない――。その通りだ。けど、ぼくはずっと迷ってる。命の選別、その言葉にみんながとらわれてしまっていて、おかあさん、おとうさん、家族、その事情には目が向けられていない。それぞれの事情の上に命は生まれてくる。育てていくのは家族なんだ。出生前診断を受けた結果、中絶を選択をする家族もある。心が重くなる。いつまでも慣れることはない。けど、悩みに悩んだ上でその選択をして、ぼくたちに助けを求めてる。その手を払いのけることはできない。中絶を決めたおかあさんが、赤ちゃんを最後に抱きたいと願う。たしかに矛盾してるかもしれない。だけど、その葛藤にぼくたちが寄り添わないで、誰が寄り添う。検査を受けたひと。受けなかったひと。赤ちゃんを産んだひと。産まなかったひと。どの選択も間違ってない。いや、間違ってなかったと思えるように、産科医として、家族と一緒に命と向き合っていく。それがぼくに・・・ぼくたちに、できることなんだと、そう信じてぼくはここにいる」
TBS/2017年12月15日放送
【脚本】坪田文/【原作】鈴ノ木ユウ
コウノドリ2・第9話 [コウノドリ]
「流産が珍しいものじゃないということを、もっと知ってもらうことも重要なんじゃないですか。実際、妊娠した女性の15パーセント。6、7人に1人の割合で、誰にでも起こり得ることで、年齢と共にその確率も上がっていくわけですから」
「そうなんだけどさ。確率の話をしたところで、おかあさんの悲しみは埋まらないよ」
「ひとは必ず誰かがそばにいて、誰かのそばにいる」
TBS/2017年12月8日放送
【脚本】矢島弘一/【原作】鈴ノ木ユウ
コウノドリ2・第8話 [コウノドリ]
「最近の白川先生を見てて、どう思う? (中略) 少し心配な時期だよね。自信がついてくると、自分の考えに固執してしまうからね」
「(赤ちゃんを見る度に、わたしは)心の中で何度も謝ってるんです。(弱い体に産んでしまって)ごめんね、ごめんねって」
「じゃあ、今度 赤ちゃんに会うときは、こう声をかけてあげてください。すごいね、頑張ってるねって」
「赤ちゃんに つながれている たくさんの管は、赤ちゃんがいま 一生懸命 頑張っている証です。お母さんが引け目に思うことは なにひとつないし、むしろ頑張り屋さんの赤ちゃんを誇りに思ってください」
「(上を目指すんじゃなくて)先を目指すんだよ」
TBS/2017年12月1日放送
【脚本】吉田康弘/【原作】鈴ノ木ユウ
コウノドリ2・第6話 [コウノドリ]
「泣き崩れて、辞めるだとか言い出すならまだしも、立ち直ったふりして、妊婦の採血しまくって・・・。(おまえは)患者の心配をするフリをして、自分が神谷さんの死を乗り越えたいだけじゃないのか」
「もっと早く気づいていれば、もっと早く勇気を出していれば、救えたんじゃないか・・・。その後悔を乗り越えることはできない。忘れることもできない。悔しことも、うれしいことも、ひとつひとつ胸の中に積み重ねて、ぼくたちは医者として進んでいくしかない」
TBS/2017年11月17日放送
【脚本】坪田文/【原作】鈴ノ木ユウ
コウノドリ2・第5話 [コウノドリ]
「目の前に、車に轢かれて死にそうになってる人間がいたら、誰だって助けるだろ。その命を救ったあとに障害が残るかなんて、誰も考えちゃいない。緊急手術ってのは、そういうもんだ」
TBS/2017年11月10日放送
【脚本】吉田康弘/【原作】鈴ノ木ユウ
コウノドリ2・第4話 [コウノドリ]
コウノドリ2・第3話 [コウノドリ]
「日本の妊産婦の死因に自殺が多いのは知ってますよね。産後に自殺したひとの3割が、産後うつだって言われてます。精神疾患はなかったと言われてる4割のひとも、診断されていなかっただけで、そこまで追い込まれていたんだと思う」
「(夫婦はふたりでひとつ?)なんだそれ? 人間はふたりでひとつになんかなれない。死ぬまでひとりだよ・・・たとえ夫婦でも。別々の人間だからこそ、お互いを尊重しあう。それで初めて助け合えるんだろうが」
「赤ちゃんが0才なら、お母さんも、お父さんも、0才ですよ」
TBS/2017年10月27日放送
【脚本】坪田文/【原作】鈴ノ木ユウ
コウノドリ2・第1話 [コウノドリ]
「離島で医者が必要とされるいちばんの理由は、死亡診断書を書くことだ。でも、オレはそのためにここで医者をやってるわけじゃない」
「赤ちゃんは一人ひとり違いますからね。おふたりの赤ちゃんの情報は、ネットの中にはありません。調べてもいまは、不安になってしまうかもしれませんよ」
TBS/2017年10月13日放送
【脚本】坪田文/【原作】鈴ノ木ユウ
コウノドリ 命についてのすべてのこと・第10話(最終回) [コウノドリ]
「尚人くんの人生は、もしかしたら駆け抜けるように過ぎてしまうかもしれない。でも、一生を濃密なものにすることはできると思うんです」
「ぼくは信じていますから、生まれてくる命に意味のないものはないって」
「母の命を奪って自分が生まれたのだと(ぼくは思っていた)。でも、そうではなかった。ぼくは母からバトンを受け継いで生まれた・・・」
TBS/2015年12月18日放送
【脚本】山本むつみ/【原作】鈴ノ木ユウ
コウノドリ 命についてのすべてのこと・第9話 [コウノドリ]
「悩むことを、後ろめたく思う必要はありません。それだけ しっかりと赤ちゃんのことを考えているということですから」
「小泉さんは普通のお母さんです。それから、お子さんも普通の赤ちゃんです。早く生まれてしまったのは、誰のせいでもありません。(中略) たくさんの管につながれているのは、かわいそうな姿ではなく、赤ちゃんが生きようと精一杯 頑張ってる姿です」
TBS/2015年12月11日放送
【脚本】山本むつみ/【原作】鈴ノ木ユウ
コウノドリ 命についてのすべてのこと・第8話 [コウノドリ]
「赤ちゃんの両親はさ、(お腹の中の子に)異常がなければ100点。治せる、治せないは別として、異常が見つかったら零点みたいなとこが、どうしても(あるから)ねえ」
「これから長い時間をかけて、子供と一緒に大変なことを乗り越えていくのは家族なんだよ。不安に思って、なにが悪い。大袈裟に心配して、なにが悪い。みんな、自分の命より大切な子供の命を、ぼくら(産科医)に預けてるんだ」
TBS/2015年12月4日放送
【脚本】坪田文/【原作】鈴ノ木ユウ
コウノドリ 命についてのすべてのこと・第7話 [コウノドリ]
「夜12時から2時にかけて、破水、陣発する妊婦が多いのは、哺乳類が安全なときに産気づく習性を持つからです」
「子育てにおいて、旦那は新米バイトみたいなものですからね。やる気はあるけど、いかんせん やり方がわかってない」
「あたりまえのことができなくて、あたりまえじゃん。だって、親子になって四日だよ。おっぱいをあげるほうも、吸うほうも、初心者なんだよ」
「赤ちゃんのためにお母さんがいるんじゃない。お母さんがいるから、赤ちゃんがいるんだよ」
「帝王切開はたしかに手術です。お腹を切って、子宮を切って、そして、赤ちゃんと胎盤を取り出して、そのあと お腹を縫う手術です。ですが、帝王切開を受ける妊婦さんは、自分のケガや病気を治すためでもなく、赤ちゃんの命を守るためだけに、命を懸けて自分から手術台の上にのぼるんです。帝王切開は立派なお産です。自然分娩も、帝王切開分娩も、同じお産なんです。赤ちゃんが無事に生まれて、赤ちゃんに会えたときの顔はみんな、さっきの森さんと同じ表情なんです。ちゃんと産む、というのは、そういうことです」
TBS/2015年11月27日放送
【脚本】坪田文/【原作】鈴ノ木ユウ
コウノドリ 命についてのすべてのこと・第4話 [コウノドリ]
「(切迫流産の場合、)お腹の中にいる時間が一日でも長いほど、赤ちゃんが助かる可能性は高くなります。(中略) 最初の目標は24週です。そこまで持ちこたえて、赤ちゃんの体重が500グラムまでいけば、元気に育つ可能性は50%以上になります。妊娠の継続を希望する場合は、いまから すぐに入院して、ベッドで安静状態を保っていただきます。(ただし)安静にして、24週まで持ちこたえ、出産にこぎつけたとしても、赤ちゃんは重い障害がある可能性があります。脳性麻痺や肺の病気、視力障害など、考えられます。それに、安静というのは、歩行禁止。食事もトイレもすべてベッドの上です。さらに、感染症や陣痛を防ぐ薬を24時間 点滴しますが、これは吐き気や、だるさなど、副作用を伴います。いま お話したことを踏まえた上で、決めていただきたいんです。妊娠を継続するか、赤ちゃんをあきらめるか、を。妊娠の継続を望まない場合、人工流産が法律で認められているのは、21週6日までです。できれば、今日か、明日までに決めていただきたいんです。(中略) 決められるのは、おふたりだけです。田中さん、ぼくたち医者はご家族の未来を背負うことはできません。でも、おふたりの決断に対して、ぼくらは全力でサポートします」
「下屋の判断が正しかったかどうか、ぼくにもわからない。答えはどこにもないからね。それなのに、ぼくらはいつだって、正解のない過酷な決断を患者に迫ってるんだ。なあ、下屋。だからこそ、正しい情報を伝えて、真剣に患者に向き合わなきゃいけない。そして、患者が決断を下したとき、ぼくらはその答えに対してベストを尽くすんだよ」
「これでよかったのか、ほかに方法はなかったか、ミスはなかったか、いつだって(ぼくは)迷ってるさ。でも、もしそれを怖いと思うなら、産科医を辞めて逃げ出すか、次につなげるしかないんだよ」
「田中さん夫婦の選んだ道が正しかったのか、それは誰にもわからない。小さな命と向き合うとき、親が下す決断に模範解答などないのだから」
TBS/2015年11月6日放送
【脚本】山本むつみ/【原作】鈴ノ木ユウ
コウノドリ 命についてのすべてのこと・第3話 [コウノドリ]
「安定期というのは、決して “安全な時期” という意味ではないんですよ。胎盤ができあがって、赤ちゃんの育つ環境が安定する、という意味なんです。決して、早産の危険がない、ということではありませんよ」
「親はどうしても子供がつまずかないように、傷つかないように、先へ先へと気を回しますよね。でも、誰でも転ぶし、傷つかずに大人になる子供はいません。ぼくは、転ばないように気づかうよりも、子供には転んだときの起き上がり方を教えたいと思ってるんですよ。いや、現実には なかなか そうもいきませんけどね。ハラハラしながら見守るのは、手を貸すよりもずっと しんどいですからね」
「先進国で風疹の被害がこんなに多いのは、日本くらいのものです。日本ではワクチンを打っていない空白期間があって、30代から50代前半の男性の5人に1人、20代の男性の10人に1人は抗体を持っていないとの調査結果があります。もし風疹にかかってしまったら、気づかないうちに、電車やバスの中、職場や店などで、妊婦さんにうつしてしまうかもしれません。(出生児の)先天性風疹症候群は怖いというより、とても悔しい障害です。ワクチン1本で阻止することができるんですから」
「奇跡を起こすのは神様だけじゃない。家族、医者、助産師やナース、小さな命を守ろうとする人たちの強い思い、それが奇跡を起こす力になる」
TBS/2015年10月30日放送
【脚本】山本むつみ/【原作】鈴ノ木ユウ
コウノドリ 命についてのすべてのこと・第1話 [コウノドリ]
「貧しいっていうのは、お金がない だけじゃないからね。教育が受けられない、情報が得られない、家族や仲間の縁に恵まれない――。その結果が、駆け込み出産だ」
「トラブルは避けたいわけ。産科は訴訟さえ起こされなければ、黒字になるんだから」
「妊娠中は感染症や、様々な合併症にかかりやすくなります。検診を受けずに出産した場合、赤ちゃんが死亡するリスクは通常の6倍以上です。それに、未受診の妊婦を喜んで受け入れる病院はありません。だから、たらい回しも起きるんです。矢野さん、あなたがしたことは、お腹の中の赤ちゃんを虐待したのと同じです」
「あんたは これから ひとの何倍もつらい思いするかもしれない。けどね、サクラはいつか、ひとの何倍も、何十倍も、幸せになることだってできるんだ」
「ようこそ、この世界に。生まれてきて、おめでとう」
TBS/2015年10月16日放送
【脚本】山本むつみ/【原作】鈴ノ木ユウ