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今ここにある危機とぼくの好感度について ブログトップ

今ここにある危機とぼくの好感度について・第3話 [今ここにある危機とぼくの好感度について]

「ピラミッドは当時のファラオが単に三角好きで、自分の墓を三角にしたかっただけだって信じたいですね。やっぱ、乱用してこそ権力だって、ぼくなら思うな」
「そういうのもいい。仮説が多様であればあるほど、われわれは真実に近づくことができるんだよ」



「下手にしゃべって、余計な言質を取られるわけにはいかないんだよ。言質 取られたら、そこから崩しにかかられるんだからさ。(中略) 会見に中身なんか いらないの。ただやることに意味があるの



「(総長の回答内容に)中身はありません。しかし、そこにこそ大きな狙いがあるんです。たしかに外国人記者には、バカだと思われるかもしれません。でも、その もう一歩 先を想像してみてください。中身がないってことは、記事として大きく取り上げようがなくなるってことです。つまり、大して騒がれることなく、さらーっと、しれーっと、終われるかもしれないってことです。重要なのは、結局、この会見の視聴者を誰であると想定するかなんです。帝都大総長の会見動画なんて、そんなに多くの外国人が見るでしょうか? いいえ、視聴者は圧倒的に日本人であるはず。ならば、日本人向けの好感度戦略を練るべきです。その鉄則は『1、清潔感』『2、笑顔』。そして『3、意味のあることを言わない』。批判を呼び、誤解を受け、炎上を招く――。嫌われる原因は、いつも “意味” です。会見という公に向けた言葉には、意味を最小限に控えることこそ、日本における正しいリスクマネージメントであると、広報課は考えます」



「社会は、いつ どんな危機的状況に陥るかわからない。大学の社会的使命とは、どんなときも自分の頭で考えることのできる人間を、一人でも多く輩出することである」


NHK/2021年5月8日放送
【脚本】
渡辺あや
注)1段目:実際の台詞は 「ピラミッドはやっぱ当時のファラオが三角好きで、自分の墓を三角にしたかっただけだって信じたいですね。やっぱ、乱用してこそ権力だって、ぼくなら思うな」 でしたが、こちらの判断で 「やっぱ」 の連続を削除しました。
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今ここにある危機とぼくの好感度について・第1話 [今ここにある危機とぼくの好感度について]

「そりゃ、ぼくだって(被災地を取材して)いろいろ思ってますよ。『まだ道ガタガタじゃん』とか、『電柱ボキボキじゃん』とか、『え、これしか直ってねえ』とか、『復興予算どうなってんの?』とか。ま、でも、そんなことをポロッと言っちゃったら最後、どこに差し障って、どこからクレーム食らうか わかんないすからね、このご時世。だからもう、極力 意味のあることは言わない。なんか言ってるけど、なにも言ってないってのが、いちばん いいんです。ぼくの好感度だって、上がりゃあ しませんけど、落ちもしませんから」



「一介のポスドクがさ、上司のスター教授と、大学っていう権力を全部 敵に回すの わかってて、内部告発したんだよ。そんな大それたこと、どれだけシミュレーションとか、検証とか、徹底的にやり尽くした上で、事に及んでるのかって、ちょっと想像したら、わかんないのかな。ホント、権力 持ってるひとたちって、見下してる人間に対して想像力ないよね。きみもね、見下すのは勝手だけど、見くびるのは やめたほうがいいよ。痛い目 見るから」



「わたしは日本の科学研究に、あるべき姿に戻ってほしいだけだよ。資金、資金、資金って、お金のことばっかりに必死になって、あまりに いびつに ゆがんでしまって、もう絶対このままじゃダメだって、みんな わかってる。だけど、誰も止められない。(中略) 病気が重くて死にかけてるんなら、まず それを認めるしかないじゃん。どんなにイヤでも、病名を知らなきゃ、治療だって はじまらないじゃん」



「科学研究はいま、必ず当たる宝くじのようなもんだと、勘違いされているんです。国も、企業も、すぐに成果が出て、金になりそうな研究に巨額な投資をする――。そして、例えば5年で結果を出せなんて求めるでしょ。しかし、研究というのはですね、本来、そう すぐに都合よく結果が出るものじゃないんです。そのプレッシャーは、研究者たちにとって、そりゃもう大変なものなんですよ」



「複雑なことの嫌いな彼は、世界に単純であってほしかった。簡単で、シンプルで、自分にも やすやすと わかるものであってほしかった」


NHK/2021年4月24日放送
【脚本】
渡辺あや
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