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破裂・第2話 [破裂]

「なぜ日本が長寿世界一か、知ってます? 医療が無軌道に進歩したからですよ。ただ命を延ばせばいいという短絡的な発想でね。しかも、日本の老人は、脳の血管は弱いが、心臓は強いから、寝たきりになっても、なかなか死ねない。食生活の違いから、アメリカやヨーロッパは逆なんです。やつら、年を取ると心臓発作でどんどん死にます。介護負担もそれほど増えないんです」



「外から見れば、日本の多くの欠点が見える。自己主張が苦手、問題は先送りにする、確固たる自我がない。でも、裏を返せば、すべてが美点です。奥ゆかしい、慎重、協調性がある――。わたしは日本という国を愛し、同時に軽蔑した。ダメな子ほど、かわいいんですよ」



「循環器の医者なんて、心臓さえ治せば、脳の血管が詰まろうが、腎臓が弱って透析が必要になろうが、お構いなしだ。自分たちが寝たきり老人を増やし、社会全体を危機に陥れていることなど気づきもしない」



「(先生は)老人医療の現状をまったく理解していない。死ぬなと言うのは、ときに、死ねと言うより残酷なことなんだ。孤独な老人、家族に疎まれる老人、寝たきりの老人、息もできず、チューブにつながれ、床ずれに苦しみ、ときには虐待まで受ける。彼らにとって、文字通り、死は救いだ。(中略) お年寄りが死にたいとメッセージを発すると、世間はこぞって圧殺にかかる。それは社会が悪いんだ、みんなで改善していこう、なんてね。はっはっはっは、そんな小手先の改善なんて通用しない。もう充分だから、早くラクにしてくれと、多くの老人たちが思っている。なぜ誰もその声に耳を傾けない」


NHK/2015年10月17日放送
【脚本】
浜田秀哉/【原作】久坂部羊
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