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半分、青い。・第37話 [半分、青い。]

「マンガをく才能がある若者なんていうのは、偏屈なやつばかりで、いわゆるエッジの効いたオタクばかり。アシスタント同士のつばぜり合い、ケンカが絶えなかった。卵のうちにつぶれる。誰もヒナにかえらない。そこで、わたしは考えました。みんなのクッションになる人間を置こうではないか。なんの屈託もない、岐阜の山奥で育った野生の少女ハイジ――。わたしはおまえが、血の気の多い、しかし才能がある若者たちの潤滑油になるに違いないと感じました。ふん、潤滑油と言えば響きはいいが、おまえは つなぎだ、つなぎ。松坂牛、神戸牛が才能のある弟子たちで、おまえは そのつなぎ・・・ハンバーグのパン粉。どっちにしろ炭水化物。おまえは まさに炭水化物要員だ」



「わたしは帰らん。帰るわけにはいかん。絶対に帰れん。わたしはマンガ家になるために出てきた。わたしはマンガ家になる。わたしには才能がある。わたしは秋風羽織はおりにやられた。感動した。わたしの中の扉がひらいた。あきらめたくない。なにがあっても、すべて あのときの ときめきから はじまっていることを忘れるものか――。先生の『いつもポケットにショパン』の中の麻子あさこのモノローグです。わたしは先生の台詞を、先生のマンガを、先生の世界を、いつも そっと抱きしめて生きてる」



「マンガ家は過酷な職業だ。空を見ない日が、土を足で踏まない日が続く。ただひたすら机の前で、頭の中で物語を作ることだけで時間が過ぎていく。こんな小さな紙が、世界のすべてだ。こわれるぞ。おまえにその覚悟があるのか」



「びっくりしたよ。山手線って、次々電車くるじゃない。エレベーターかと思ったよ」


NHK/2018年5月14日放送
【脚本】
北川悦吏子
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