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おいしい給食・第6話 [おいしい給食]

「白身魚のフライという漠然とした表記――。だが、わたしは知っている。これはメルルーサという名前のタラの仲間。深海魚だ。名前の響きが なんとなくカッコいい。ロボットアニメに出てきそうな名前だ。だが、お世辞にも食欲がそそられる名前ではない。メルルーサは給食用に選ばれた安価な輸入魚だ」



「『雲をみ込むお湯』と書いて雲呑湯ワンタンスープ。雲を食べると縁起がいいからとか、食感がふわっと雲をつかむようだからだとか諸説あるが、さておき うまい。(中略) この ほぼ溶けかかっているワンタン。こいつが大事なんだ。先割れスプーンでこの脆弱なワンタンをすくい上げるのは緊張する」



「いつものパン、いつもの牛乳――。その安心感、そのありがたみ。相手が誰であろうと、かたくなに君臨するパンと牛乳のレゾンデートルは、すなわちコミュニケーション手段なのだ。自分調べだが、同窓会における給食の話題ベストスリーは『牛乳 飲めないやつがいた』『牛乳 拭いた雑巾がクサイ』『パンが食べきれない』の3つ。それほど このツーアイテムは、学校給食の思い出アイコンなのだ」



「わたしは吹奏楽部の顧問だが、吹奏楽のスの字も知らんし、正直 興味すらない。そんな わたしにで もわかる・・・おまえたちが下手くそだということが。つまり、下手くそでも楽しめればいいと、割り切って やってるということだ。好きなものを、ああしろ、こうしろと邪魔するのは無粋だ。そういう部活もあってもいい。ただ、おまえらは まだ子供だ。もう少し、俯瞰から見てくれるひとが必要かもしれない。もう少し うまくなったほうが、もっと楽しいはずだからな。ということで、本日から顧問は御園みその先生になる」



「(頑張りすぎという指摘、)それはダメ出しではないですね。わたしも神野もダメを出しているんじゃないです。むしろ、われわれのほうが一生懸命さに欠けるダメ人間です。頑張ってるひとが、ダメ人間の言うことを真に受ける必要はない。ただ・・・先生は楽しんでいない。それだけです」


TOKYO MX/2019年11月18日放送
【脚本】
永森裕二田口桂
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